72:突撃オリーブ双国(の街の中)
前半第3者視点です!
――その日、オリーブ双国の中央に位置するフタツ街にある会議場にはひとつの知らせが入った。
「……は?堂々とした密入国者って……なんかおかしくない?」
「いや、実際そうとしか言えないじゃないですか。でしょ?モズ」
この会議場に入ることができる者は数少ない。
魔族の代表と半獣の代表。
それからそれぞれ2名ずつの聞き役という全部で6名しかいない部屋の中でそんな会話が続けられる。
「うん、鳥みたいな船に乗った女の子だったよ。あとね」
「……おい、なんでそこで言葉を止めるんだよモズ……」
モズと呼ばれた角を持った青年はチラリと一度窓の方を見てから
「赤いローブ着てたよ。あの魔法陣はカーデン・クラークが作ったやつだねぇ」
彼がそう言った瞬間、他の5名は一瞬で顔色を変えていた。
彼らにしてもカーデン・クラークという名は忌々しい……ではなく、とても厄介な人物とイコールで繋がってしまうからだけど。
「てことはカフェイン王関係かよぉ……」
「えーえー俺達なにもしてないのに……」
このオリーブ双国でおいても彼のアル・キングス・カフェインの名はとても有名であり、厄介で、嫌な予感しか呼びこまないものでしかなかった。
そして件の密入国者がその王の関係者であると察した瞬間、その会議場にいた全員は団結をして……
「よし、密入国者なんていなかった。いいな?」
『さんせーい』
結果的に言えばこの合意はミスだった訳だが……
それほど彼らはアル王には関わりたくなかったようだった……
***
さて、無事にオリーブ双国に入れたけど……
「どうしようかなぁ……」
そもそも原因を調べるってどうすればいいんだか。
あ、その前に目印つけとこ。
目印をつけ終わって、ふと顔をあげれば視界には少し大きな建物が目に入った。
えーっと……確かあれがカルーアさんの言ってた会議場ってやつだっけ?
じゃあここがフタツ街でいいのか。
フタツ街はこのオリーブ双国において一番人口密度の高い街で、2番目に密度が高いのが魔族の中央都市であるヴァルント市と半獣の中央都市であるソルン市らしい。
あれ、でも魔族が今アル王のとことかに流れてきてるんだっけ?じゃあ密度はそうでもない??
「まぁ、いっか。」
ていうかこそこそするのもめんどくさいし。さっさとお仕事終わらせよう、そうしよう。
そう決めた私は街を行き交う人に躊躇いもなく質問したりしていた。
その結果、私にわかったことはとりあえずは1つだけ。
魔族側の漁師町の方ははっきり言えば現在不漁で、半獣側の漁師町の方はなんかむやみやたらとでかいだけのが獲れるらしい。
「美味しいの?」
「いんや?でかいだけで身がすかすかなんでよ。農業もやってても食えんのも多くてなぁ……」
なーんか、その辺も流れてる原因なんじゃね?
でもさ、争いなんて起こってる感もないし……
もう一度視線をあげればやっぱりそこには会議場っていうとこがあって……
これはもう直で聞いた方が早いんじゃない?という結論が私の中で出たのは言うまでもなかった。
あのショタ爺の思い通りになんて動いてやらないし!!
てことでオリーブ双国の偉い人達(笑)です。全部で6人。
代表が公平にじゃんけんできるかを見る為だけにいる4人。
(ちなみにじゃんけんは1回勝負)
オモチの侵入場所は結局ど真ん中からちょっとずれたくらいの人気がなさそうな場所でした。(モズってよく考えたら百舌だよね。まぁいいや)




