番外編7:とあるお屋敷の掃除人
ビネガーさんちのブラウニー視点。あ、最後の方は普通にオモチ視点です。
“わたし”の使えるおうちには昔、家族が4人とお使いの人が2人いた。
でも、いつからか、おうちにいた人は1人だけを残していなくなっていて、おうちはあっという間にガランとしてました。
いちばん年下の人は“びょうき”っていうのでいち季節を過ぎた頃に動かなくなりました。
そして次の日にはいなくなってました。
次におかあさんと呼ばれる人が毎日泣き続けておとうさんがどこかへ連れて行っていなくなりました。
お使いの人達はおとうさん達についていきました。
おうちにはあっという間に1人だけ。
“わたし”はその1人がいなくなっちゃうのかちょっとだけこわかったです。
「……――、どうして……」
1人はとても悲しそうだけどおかあさんと違って涙にくれていませんでした。
残った1人は“しょうかん”っていう力と役割を持ってるそうです。
だけど、“いらい”がないと力を使っちゃいけない制約があるそうです。
“わたし”とおんなじです。
“わたし”のお仕事はおうちをキレイにしたりすることなんです。
ちりひとつないおへや、それが一番の理想です。
いっぱい季節がぐるぐるした頃、おうちにおとこのこが2人、残った1人によって“しょうかん”されました。
大きい声で叫ぶおとこのこと、戸惑った表情でまわりをみるおとこのこの2人。
でも、このおとこのこ達はとても不思議なにおいがしました。
“わたし”にしらないものってあったのね!
それからすぐの頃、今度はおんなのこが1人、1人によって“しょうかん”されました。
“いらい”したのはおとこのこ達でした。
混乱してるおんなのこをはじめて見たとき
“わたし”は、なんとなく、あの日動かなくなったいちばん年下の人を思い出しました。
ところで、あのおんなのこはとてもすごい子でした。
見たことのない布とか、お服とか。
なにもないとこでなにも減らさないで造り出してました。
「ブラウニーにはお菓子……?ん?お菓子でいいんだっけ……」
おんなのこがぶつぶつと呟くひとりごと。
“わたし”はおかし好きです!
そう、ぴょこぴょこおんなのこの足元でじゃんぷしてみました。
でも、“わたし”の“あいかた”はおかしよりぎゅうにゅうが好きです。
一緒に足元にいた“あいかた”はぎゅうにゅうよこせとじゃんぷしてます。
だけど“わたし”負けないです!
おかしはとてもきちょうだって知ってるんだから!
「そうだ、あれにしよっかな。」
おんなのこはなにか決めたのか、パチンと両手をいっかい合わせてまたなにかブツブツと呟きはじめました。
でも、今度はなにを言ってるのか“わたし”も“あいかた”もわかりませんでした。
その日がまっくらになって、“わたし”達もお仕事のじかんです。
今日もちりひとつのこらないへやにすうようにおそうじして。
テーブルの上をみたら、お皿に白くてプルプルしてるものがひとつずつ乗ってました。
たぶんこれは“わたし”達のごほうびです!
“あいかた”もフシギそうに白くてプルプルしてるのをみてます。
そっと、おててですくってたべてみると、口の中にとてもあまいのがひろがっておいしいでした!
“あいかた”もおいしいに目をかがやかせてました。
明日からもおそうじがんばれる気がしました!
***
「ビネガーさん、ブラウニーってなんであんなに癒し系なんだろ……」
「彼らは基本的に気付かれていないと思ってますからね。」
リビングぽいとこのテーブルの上、2つ並べた白いお皿の上には丸くなってるブラウニーがいて……
ていうか迂闊って言うのか、天然っていうのか……
2人のブラウニーは口元に白い牛乳プリンの欠片をつけたまま幸せそうに笑って眠ってました。
いや、うん。ホント可愛いわ。
てことで読みにくいであろうブラウニーの話でした。
ていうかホントはお子様時代の幼馴染コンビの話書こうと思ってたんだよ。
それはまた今度てことになりました。




