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65:留守番オモチと意味深小説。

※番外編3にて、オモチの学年を高校1年と表記していましたが、高校2年に修正しました。という報告を。

――この日、ビネガーさんの家には珍しく私しかいなかった……――


佐藤はいつも通りの騎士団で、塩もいつも通りの魔道士団に行ってて

カルーアさんは気になることがあるからと情報収集にでかけて

ビネガーさんもまた、召喚依頼が入ったからとでかけて行った


その結果、家には私だけが残った。

いや、そもそもよく考えたら私、お仕事してないんだよね……

やばい……これってニートってやつなんだろうか……


「……まぁ、いいか。」


せっかくだし、この前買った立体パズルでもやろうかなぁ……

ついでに、ビネガーさんには書庫を見ることも許可もらってるし。

なんとかなるでしょ!



そう、思ってた時期が私にもありました……

この立体パズル……意外とやりおる……

時間的に3時間経過したけどまだ2つのピースをずらすことしかできていなかった。


「んー?ここがこうじゃないの……?」


こういうパズルって案外ピンと来たらさくさくなんだけどなぁ……

指先で表面にある木の板をぐいぐいとずらしてみたり、押してみた……り?

あれ、凹みがある


私はなんとなくその凹みに爪をひっかからせて持ち上げる要領でそれを引けばあっさりとピースがまたずれた。


「あ、今度こそ行ける気がする!!」


カチャリ、パチリと木の板を動かして

たまに取れる板もあって気付けば解体が終わっていた。


「くっ……まさかパズルひとつに4時間半もかかるなんて……っ」


結果、立体パズルのはずのものの真ん中には赤い小さなビー玉くらいの石みたいなものが入っていた。

硬いし冷たいから石だと思ったけど……なんなんだろ、これ。


まぁどうせ、深く考えたってわからないことだけど。

とりあえず次は書庫でなんか読めそうな本探そうかな。

思い立ったら吉日って言うし、私はパズルから出てきたビー玉みたいな石をすっかり羽織るようになったローブのポケットに入れて、さっそく書庫の方に移動したのだった。



ビネガー宅の書庫は1階の奥の方にあった。

埃ひとつなく、テーブルとイスが何個かあるその部屋の壁際には本棚が並び、本がびっちりと収まっていた。

正直言って、けっこう圧倒される量の本だった。


「えーと小説的なの、はっと……」


図録、歴史書、呪文書、魔道書、各職業に向けた本と並び、ようやく私は小説的な本を見つけた。

ていうかよくみたら文庫サイズのもいっぱいあるけどどう見ても一部ってラノベ系に見えるよなぁ……

まぁ、触れないでおくに限るよね。こういう場合。


「ま、ヘタにさわって文句言われるのもあれだし。……あ、これはミステリーものぽい予感!」


1冊手にとって、ぺらりとページをめくればそこには予想通りミステリーが描かれていた。

もちろんこっちの世界の言葉でだけど。

よくよく見れば他にも歴史ものの小説とかもあった。


「歴史……」


ミステリーの方は1回本棚の中に戻して、歴史ものの小説を手にとってみれば

その本は歴史と言っても元始の頃に重点を置いてる感じがした。


……そしてなんとなく、私はこれを読まなきゃいけない気がして……




「モチヅキさん。いい本ありましたか?」

「ビネガーさん、この本って……」

「あぁ、【のハジマリと終わりなき夢】ですか。なかなか面白いですよ」


どういう話なのかと聞いてみれば

主人公は20代の青年で、ごく普通の一般人だったが、突然何もない世界へと導かれ、そこで青白い色の鱗を持つ竜と出会うらしい。

それから彼は竜といろんなことを話し、そして竜は1人の子供を作り出した。

子供は青年に交わりを求め、青年は子供に対してある条件を出し……


「あとは自身で確かめてください」

「わかった。これ借りるね!」


元始の世界を舞台にしたという小説、それがどういう意味を持つのか

もちろんだけど私はまだ気付いていなかった。

その話が、8割事実だったなんて……

立体パズルの作者とオモチが買ったローブの作成者は実は同じ人。

そもそも売ってた人も同じ人だったけどオモチが気付いてなかったっていうだけ。

一応意味深小説の中身は番外編4のあの部分と重なってたり。

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