番外編5:少しだけ本編から時期がずれてるお話。
オモチ視点のちょっと先のはずのお話ですよー
あ、ちょうどよかったから桃の節句話(桃の節句とは状態だが)
――水冷の3日、元の世界で数えれば3月3日。この日はこの世界でも女子が主役らしい……――
「明かりをつけましょぼんぼりに~っと。」
今日は水冷の3日で、数えれば3月の3日と言うわけで桃の節句の準備をしてるわけだが
この世界でも桃の節句の文化があるらしい。
というかアル王が広めたらしいけど……何故か端午の節句はない。
というのはアル王が忘れてただけらしいけどとにかく今日は女子が主役なわけだ。
だから私はこうしてあの定番曲を口ずさみながら力を使って作ってるのは……
「菱餅に雛あられになんて言った……白酒だったか?」
「うん。一応雛まつりの文化があるらしいからね。黄竜達のとこに持って行こうかなって。」
まぁ、白酒は呑まないけどね!お酒だから
そういえば私の知ってる女子って白竜、黄竜、緑竜、赤竜にリゼットちゃんだけなんだよなぁ……
知り合いが少なすぎるのか……
「はい、佐藤味見要員よろ」
「おう……うん、うめぇんじゃねぇの?」
「味見要員の意味ないじゃないか……」
「いや、だからうめぇって。やっぱおじさんの味になんだな」
「あーそっち……まぁ、私の場合毎年食べてたからねぇ……」
佐藤と2人でもそもそと雛あられを摘んで……
あ、もちろん持ってく用は別にあるよ?
とりあえず味見も終わったし、1回リン大陸に行ってこなきゃ
「んじゃちょっとこれ渡してくる」
「おー気をつけてなー」
……それは赤竜に対してって意味なのだろうか……
あんまり深く考えない方がいいよね、こういう場合。
……そんなこんなでリン大陸は白竜の領域です。
『あら、いらっしゃいお嬢さん?』
「白竜さんって今日は何の日か知ってる?」
『今日は……あぁ、水冷の3日ね。桃の節句だったかしら』
「……この大陸でも日付の概念があったことに驚きだよ……」
自分で振っておいてあれだけど。
人と交流してる感じないのに……
『日付は元々原始人が作ったものだもの。妾達もそれくらいなら理解しているわ?』
「うん、とりあえずよくわかんないけどわかったからおいとく……」
種族とか成り立ちとかはまだ私よく知らないしねぇ……
ほぼスルーする勢いでスルーして私は雛あられに菱餅と白酒を渡した。
「雛あられと菱餅と白酒だよ。」
『まぁ……ありがとうお嬢さん。ところでこの白酒というのは?』
「んー……まぁ、お酒?作ったはいいけど私呑めないし。」
『それならありがたくいただくわ。……それじゃあ黄竜のところに行きましょうか』
どうやら白酒で足代わりにしようとしてたのをばれてたらしい。
まぁ、いなくても鳥人間号で飛べたけどね。
そして次に来たのは黄竜の領域である草原。
……に、来たのはいいけど緑竜は私達に気付くとポテポテと近づいてきて、黄竜は不貞腐れていた。
「なんで黄竜ちゃん不貞腐れてるの?」
『べ、別に不貞腐れてないわよ!何しに来たのよ』
「ん、桃の節句だから雛あられとか持ってきたよ。」
私が雛あられと言った瞬間、緑竜はちょうだいちょうだいと言うように足に抱きついてきた。
うん、だから爪が……
雛あられを食べ続ける緑竜、白酒に酔って絡んでくる黄竜、それを楽しそうに見てる白竜、そしてそれに絡まれてる私……
「黄竜ちゃんそろそろ離して……」
『ならもっとこのお酒呑ませなさいよ!』
「それはもうダメ……黄竜ちゃん酔いすぎでしょ……」
『なら離さないわ!』
黄竜は人姿になって私に抱きつくけど……金髪幼女が抱きついてくるってだけだからただ単に可愛いだけなんだよねぇ……
まぁ、力自体は竜のまんまだから外せないけど。
『黄竜が絡み酒になることは知らなかったわね』
「いや、その距離感知ってたでしょ絶対……」
『否定はしないわ。』
否定しないのかー……にしてもどうやって帰ろう……黄竜を離さなきゃ帰れないし……
その時、緑竜が口に入った雛あられを咀嚼しながら私の方に来て……
黄竜の腕を引っ張っていた。
一応助けてくれてる……の、かな?
『なによ緑竜……え?そこ代われって?』
うん、ちょっと違った。
それからまだ緑竜と黄竜はわちゃわちゃと奪い合いしてるけど……
私はすでに白竜の方に移動済みだった。
「なんか収拾つかなくなりそうだからあっちの大陸の方に戻るよ」
『あら、じゃあ気をつけてね?お嬢さん』
「うん、白竜さんも。」
黄竜と緑竜が気付いてないうちに私はビネガーさんの家に戻って……
今度はリゼットちゃんのところに雛あられを届けにいくことにした。
……けど、そこでもまたひと騒動があったのはもうしょうがないことなのかな……
「ていうことで今日はちらし寿司だよ。」
「これがちらしずし……!」
そういえばひな人形飾ってるの見たことないけど……アル王は一体どういう感じで桃の節句を広めたんだか……
そんなのは私にはわかるはずがないけど……
「モチヅキ、この白酒をもう1杯貰えるだろうか」
その日、私は夢で雛段の最上に座ってる夢を見た。
その横には誰かの気配があって、その場所は普通お内裏様がいるはずだけど明らかに違う感じで……
その顔を見ようとした時、私は……
お雛様の座にいる夢を見たオモチ、その横であるお内裏様の座にいたのはいったい誰なんだろうねぇ・・・・・
一応恋愛タグを入れてるのでそっちのニュアンスも込めて。
そして黄竜は絡み酒タイプ、いなかったけど赤竜はキス魔タイプ。
白竜はそもそも酔わないタイプという感じで。




