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58:ただのだべり場

リゼットちゃんが帰るまでにも少しだけひと騒動……――という名のただ単にリゼットちゃんが帰りたがらなかっただけだけど――があったのは私にはどうしようもないことだと思う。


「疲れた……もう何もしたくない……」

「これ望月、娘が床に転がるとははしたないぞ」

「何のためにジャージに着替えたと思ってるのさ。」


ぐうたらするためだよ。と言えばアル王は少し呆れたような表情をしつつも頷いた。


「カルシウム国の末姫は少し暴走の気があるのは知っておったからのぅ。今回だけは大目に見てやろう」

「知ってたのかい!!」


言っとくけど、今はあのカルシウムの王様達と会ってた広いとこじゃなくてまたあの和室にいるから転がれてるだけだから。

さすがにあの王座あるとこで転がりたいとは思わないし。


「まぁ、望月は佐藤殿や塩殿達とは違ってわしの国に属してるわけではないからのぅ。しばらくは無理強いはせぬよ」

「うん、ちょっと待って。」


しばらくはってことはまた何か無理強いするってことじゃないですかやだー

そのことを指摘すればわかりやすくアル王は目線を逸らしていた。

これだからショタ爺は……


「そもそもなんで佐藤達は私を呼んだのかがわからないんだよねぇ……」

「ふむ……お主は鈍そうじゃのぅ。」

「失礼な」


そりゃ鋭くないけどさ。

唐突にそう言わなくてもよくない?


「にしてもこれ以上に私に何をさせる気なのよ。」

「ふむ……それはその時のお楽しみということにしておこうかのぅ」



――アル王の頼まれごとがまさか佐藤か塩と市場をまわることなんて誰が想像できた?まぁ、もっともそれを言われるのは数日後のことだけど……――



「もういいや。帰る……」

「なぁ望月。……カルシウム国の末姫に渡した菓子をわしも欲しいんじゃが……」

「あ、うん。」


なんでマカロンこんなに人気なんだろ?

まぁ、そんなこと知ったことじゃないし、いいか。

とりあえずアル王にはリゼットちゃんにあげたストロベリーとバニラとチョコにコーヒーと抹茶のも混ぜてやった。

後悔はしてない。


「ほう、コーヒーと抹茶もか。」

「そういえばコーヒーとカヒーって違うものなんでしょ?似てるけど」

「ん?あれは同じものじゃよ。」

「……ん!?」


なんでも、最初は誰もそれが飲めるものだと気づかなかったけど

幼少期に私達の世界に来たことのあるアル王がコーヒー豆と同じだと気づいて飲めるように普及させたらしい。

カヒーになったのはある意味訛りの影響らしい……


「そうだったのか……」

「案外そういうものも多いんじゃよ。」


アル王が言うには野菜とかにも似たものやら同じようなものがあったらしい。

そういう意味で考えると世界っていうのは根本近くなるものなのかもしれないよね


「なのに甘味は普及してないのか……」


……その時、佐藤がどこかでくしゃみしてたなんて知らない。

ある意味なんでもない回。

ちなみにで言えばリゼットがいた時は制服だったと認識してください。

というか最近服描写してないことに気付いた……

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