57:お城で会う他国の人。
王座のある広い部屋の中、王座に座るアル王の前には煌びやかな服を来た男の人と女の子がいて
その空気はとても重苦しかった。
そしてそれを壁際から見てる私……ってホントなんで私ここにいるんだろ……
そう思わずにいられないのは確実にアル王の前にいる人達が連れてきた兵士達が外にいるから
「よく参られましたなカルシウム王、末姫様」
「お時間を戴きありがとうございます。カフェイン王」
重苦しい会話にカルシウム国?の末姫って呼ばれた子はちょっと緊張してるみたいだった。
というよりもショタ爺に怯えてる?
「望月、カルシウム国の末姫様の相手を頼むんじゃよ」
「あ、はい。」
そう振られると女の子はおずおずとこちらの方をみていて……
ていうかその涙に濡れた緑色の瞳がなんというか保護欲を駆り立てられると言うかなんというか
「えっと……」
「あ……わ、わたくしはカルシウム国が王の末の娘になります。リゼット・ナインス・カルシウムと申しますわ」
「リゼットちゃんかぁ。私は望月杏子っていいます」
なんか、妹とかいたらこんな感じなのかなとか思うよね!
「そうだ、リゼットちゃんって甘い物とか好き?」
「甘いもの……ですか?え、えぇ好いてますが……」
私はリゼットちゃんにマカロンを力の方で作って出した。
味はストロベリーとバニラとチョコの3種類!
そしてそれを差し出せば、目を輝かせていた。
「た、食べてもよろしいんですか?」
「うん、どーぞ。」
「あ、ありがとうございます!キョーコお姉様!」
……ん!?
なんか急にリゼットちゃんからの好感度があがったのか、お姉様呼びになったのは気のせいだよね……?
「キョーコお姉様、このお菓子とても美味しいですわ!」
「よ、喜んでもらえてよかったよ」
気のせいじゃなかった。
なんか緑竜思い出すなぁ……
そんなことを思いながらリゼットちゃんを見てたから私は気付かなかった。
アル王がリゼットちゃんのお父さんと話しながらも横目でこっちの方を見ていたことを……
「……さすがは望月といったところかのぅ……」
「カフェイン王?」
「あぁ、こちらの話じゃよ。」
「キョーコお姉様はサトウ様やシオ様に呼ばれてこちらに来たと伺いました。どういうお知り合いなのですか?」
「んー?佐藤と塩はクラスメイトで……あ、佐藤は幼馴染なんだけどね。」
「まぁ!とても親しいのですね!」
「あ、うん」
なんだろこの子……猪突猛進タイプなのかな……
すごいぐいぐい来る……
「あの、キョーコお姉様……もしよければあのお菓子もう少しいただけませんか?」
「うん?いいよー」
とりあえずさっきのと同じのを出せばリゼットちゃんは嬉しそうに手に持っていた袋にしまっていた。
確かきょうだいが多いって言ってたしおみやげにでもするのかな?
それからアル王とカルシウムの王さまとのお話が終わるまでずっと
私はリゼットちゃんからの質問攻撃を受け続けるのだった。
……ていうか、あの子……お菓子食べはじめた頃から妙に鼻息が……き、気のせいだよね……?
隣国の末姫のお名前はリゼットに決めた。
そしてお菓子でタガが外れちゃった子。
鼻息は・・・・・・ね?




