53:砂漠回りとただの釣り師
翌日、青竜のオアシスから出て、赤竜の砂漠を走り出した。
とは言っても緋化がくるからまたカーステレオかけてるけど。
「んー……ホント砂しかないねぇ……」
「砂漠だからな。……望月、水くれ」
「アイテムボックスに入ってるって言ってるのに……はい。」
「サンキュ。いや、あの後ろの俺には開けられねぇんだけど?」
「……ん?」
あれ?なんか閉め方失敗したのかな?
普通に開けられたと思うんだけどなぁ?
――この時、私は知らずにいた。
そういう無限系のアイテム収納アイテムというのは他人が開けられない仕様になってることを……――
「あ、そうだ。白竜さん、海の区切りってそろそろ?」
『そうね。そっちの方も寄ってみるの?』
「うん、釣りしよ釣り。」
今度は食べられる魚を釣りたい。
その話をすると佐藤は不思議そうな顔をしていた。
「え、食えねぇの!?」
「そうなんだよ!!あっちの方だと食べれないんだよ!!」
だから草原の方の海の魚は食べられないんだよーって話した結果がこれだ。
まぁ、佐藤も釣り好きだからね……
釣ってその場で焼くのが好きな派の釣り師なんだよね。佐藤は。
私はキャッチアンドリリースでお持ち帰り派。
と、いうことで進路は海岸の方へ……
「おーこれはなかなか」
「あー身が詰まってそう!」
海岸について多分2時間、私達の横にはいつか見たような魚の山が出来ていた。
今回はビネガーさんの家にあった図鑑も持ってきたよ!
その結果、釣れてる魚はどれも食べれるものだった。
今回は普通に調理しようかな。力使わない方向で。
私だって一応料理くらいは出来るし。
……やってなかったけど……
「佐藤、何個か持って帰ろう」
「だな。とりあえず焼いて美味そうなのは食うぞ。」
「白竜さんも食べよ」
『そうね、いただくわ。』
まず薪を準備して、佐藤が火をつけて、魚の内臓を取って、あとは焼くだけ。
しかし、こっちの魚ってホント丸々太ってて美味しそうだなぁ……
海水だから塩味はいらないな。
「そろそろいけそうだな。」
「くっ……美味しそう……あ、佐藤はいお茶」
「おー」
はぐりとよく焼けた魚に齧り付けば身はほろほろと崩れ、海水のほんのり塩味がしつこくなくて
もう難しいことを抜きにすれば……
「うまっ」
「うめぇっ」
やっぱこうだよ。釣りたてのいいとこってこうだよ!!
なお、白竜も私達の真似をして齧りついていた。
普段は頭からマルカジリらしい。
「あーこのシンプルさたまらないわぁ」
「わかる。刺身は無理だろうけど焼きうめぇ」
その後私達は無心で魚を食べ、すっかりアイテムボックスにしまっていた魚以外は綺麗になくなっていた。
「やばい、食べ過ぎた……」
「どうせ漕ぐんだから大丈夫だろ。」
「うぅ……にしてもこんなにこの世界の魚が美味しいとは思わなかったよ……」
「だなぁ。」
白竜はおしとやかに口を拭ってるけど……
私はちゃんと気付いてるよ!白竜の足元にある魚の骨はほぼしっぽだけだって!!
そう考えると白竜もホント竜だよなぁ……
「さて、今日中に赤竜のとこ終わらせちゃお」
「そうだな。あとどんくらいだ?」
『そうそう時間はかからないと思うわ?』
結果、赤竜の領域である砂漠を回り終わったのはなんとか日が沈みきる前だった。
これで最後の白竜の領域に心おきなくいけるね。
『あぁ、どうせなら明日は黒竜の森で合流しましょうね。』
「ん?てことは山登り?」
『そうよ?妾の領域は少し険しいからそのつもりでね。』
「はーい」
てことは登山道具もいるか……
そう思いながら佐藤を見れば目を輝かせていた。
あ、そういえば佐藤って山も好きだっけ……
高いとこはダメなのに……変なの。
なんとかは高いところが(ry
釣り?やったことあるけど釣ったことないですが何か問題でも?
山登りはしたことあるけどな!ちょっと違う感じの山登りだけど。




