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47:赤竜前に調べと忘れ。

――結局、釣った魚はそっと海に戻しました。戻したんだけど……


「なんであんなに元気なの……」

『そりゃ多少陸地に居たからってすぐ弱るのはいないわよ?』

「あ、はい……」


魚とかはもう気にしない。

一応図鑑で調べる為にメモとかしといたけどさ……

それよりも時間はまだある……と、思う。


「よし黄竜ちゃん、赤竜の領域ってどっち?」

『え、行くの?』

「一応全部まわんなきゃあれだし。」


ていうか黄竜、すごく嫌そうな気がするんだけど……

そのことを白竜に聞けば答えは簡単だった。


『赤竜って黄竜の姉なのよね。』

「……竜の血関係ってよくわかんないね。」

『そのあたりのことは人間とは少し違うもの。』


まぁ、ようには黄竜はわざわざお姉ちゃんに会いに行きたくはないってことらしい。

ていうか緑竜の父親が青竜、赤竜にも青竜との間に生まれた子がいて……んん?


『お嬢さん、そのことはあまり考えない方がいいわ。』

「りょーかい。黄竜ちゃん行きたくないならここまででいいよ?白竜さんいるし」

『あ、案内くらいするわよ!』


黄竜ってどう見てもツンデレ気質だよなぁ……

そんなことを考えながら私は時間ギリギリまで自転車を漕いだ。


……まぁ、結局赤竜側の結界に到着する前に時間が来たけどね。

仕方ないことだけどさ。



「佐藤、明日赤竜のとこに到着しそうだから出来るなら明後日から頼む。」

「おー、隊長に言っとくわ。」


私がビネガーさんの家に戻ってまずしたことがあるとすればこれだった。

つまり佐藤に予定を伝えるということ。

実際、佐藤がいた方が気が楽といえば楽なんだよね。


「しかし、縦断は終わりですか……」

「うん。やっぱり時間かかるね。」


大陸だから縦で終わるはずがなかったけど。

にしてもホント、あのショタはなんでこんなことをやらせてるんだろうかね?



ついでに言っておこう。

図鑑であの釣った魚のことを調べてみたらどれも毒持ちだって書いてあったよ。

どれだけ厳しい生態系なの……あの海は……



「しかし、竜がそれぞれの生態に詳しいということは知りませんでしたよ。」

「だろうねぇ……あまり知られてる感じはなさそうだったし。」


……あれ、そういえば何か忘れてるような……?

この前聞いたことのはずなのに……まぁ、そのうち思い出すかな。


「そういえばカルーアさんって旅してたんでしょ?どういうとこ行ったの?」

「この大陸と一部の島国だな。オレが入れない国もあるからな……」

「へぇ……やっぱり差別的なのあるのかぁ……」

「そうだな。」


差別があるのはどの世界でも当たり前のことなんだね。

あたりまえじゃダメなんだろうけど……


にしても、赤竜の領域が砂漠っていうのはわかってるけど……

赤竜自身ってどんな竜なんだろうな。


この時、私はすでに対人関係で神経が麻痺してる状態にも近かった。

いや、濃い人が多かったからだけど……

だからこそ私は多少の油断をしていた。

赤竜の特性を忘れてしまうほどに……

何事も忘れることってあるよね!って話。

アル王のあれとかもね。

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