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45:ドーナツ会と反対側へ。

再び1人きりのリン大陸。

すでに白竜も黄竜もそこにいた……っていうかいつからいたんだろ……?


「お待たせしましたー?」

『気にしなくていいわ。こちらの方が少し早すぎただけだから』


よく見たら黄竜の足元に緑竜もいた。

緑竜は機嫌よさそうに鳴いていて、やっぱり私はこの竜達の機嫌がいい理由がいまいちわからなかった。


わからなかったけど……自転車に乗ってすぐに察した。


「あ、うん。緑竜そこ気に入ってるんだね……」


私の言葉に緑竜は肯定するかのように一鳴きしていたけど……

まさか緑竜が気に入るとは思わなかったなぁ……

その前かごの中って。


「ていうか黄竜ちゃん、そこ慣れた?」

『そうね。ちょっとお尻が痛いけど問題ないわ』


あ、やっぱり痛いのか……

まぁ、ただの木の板の上に座ってるだけだもんなぁ……


「黄竜ちゃん、これ使って。」

『なによこれ?ずいぶん平べったい……』

「え?クッションだけど……気に入らなかった?」

『誰も気に入ってないなんて言ってないじゃない!』


そう言って黄竜は即席で作ったクッションを何故か抱きしめていた。

いや、それの上に座って貰おうと作ったんだけど……

ダメだったかなぁ?ドーナツ柄。


『それでこれってなんていうもの絵なのかしら?』

「ドーナツだよ。あとでおやつに食べよ。」

『……え、これ食べ物の絵なの!?』

「そうだけど……座ったら?」

『くっ……』


なぜか黄竜は葛藤してるけど……もういいや。

とりあえず私は海岸を目指してペダルを踏み込んだ。

その間も黄竜はまだドーナツ柄のクッションに座ろうか葛藤していた。



自転車で走り出してから多分3時間くらい。

私達は草原のど真ん中でお昼休憩をしていた。


『こ、これがドーナツ!ドーナツなのね!』

「あ、うん。とりあえず落ち着け黄竜ちゃん」

『あら、緑竜も気に入ったのね。』


白竜の言葉に緑竜を見れば山のようにあったはずの某もちもちするドーナツがすでに半分くらい消えていた。


「ちょ……っ1人占めはダメ絶対!!!」

『やだっなにこれ美味しい!!』

『お嬢さん、この緑色のはなんて言うのかしら?』

「それは、抹茶だよ。白竜さん」


ドーナツのお供はコーヒーと紅茶で迷ってとりあえず紅茶にしてみた。

にしてもよかった、甘いもの平気そうで。


いろんな味とか形のドーナツの全てがなくなったのはそれからまもなくのことだった。

女子ってこえぇ……



また軽快に走り出した自転車。

黄竜はようやくクッションに座っていた。


ただし所在なさげに周囲をきょろきょろとみてたけど。



――耳に届く波が岸壁にぶつかる音、鼻で感じる潮のかおり。

それだけですぐそこが海なのだと否応にも理解できた。


「思ってたより時間かかったなぁ……」

『そうね。あとこのクッションちょうだい。』

「いや、うん。あげるけど……」


とりあえずこれで最初に入った場所と真反対に出たことになるのか……

ただ思ったのは、この大陸……なんか想像してたより広いかもしれない……

オモチ、大陸の縦断は完了。(ただし、空白地帯と森と草原の通過のみ)

もちろん砂漠とオアシスと山も行きます。

次に出てくる新しい竜は赤竜確定です。(まだだけど)

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