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番外編2:とある大陸の紫の子竜

カッとなって番外編。

※地の文は本来の紫竜の話し方とは違い、見やすさ重視に漢字も入ってます。

(でも語りは紫竜くん)

――この、大陸という場所には5の大竜と、3の子竜がいる……――



ぼくは紫竜、青竜と赤竜の間に生まれた3の子竜の中の1で、今は父である青竜の領域、オアシスで生活をしている。


領域を持たないただの子竜であるぼくにだって悩みくらいある。

それはもちろん父のことだ。


『ちち!こづくりベッタクでして!』

『おぉ……そんなに怒るなよ紫竜……』


父は節操がないし、オスもメスも関係なく子作りするし、なによりぼくがいることをすぐ忘れる。

ただ、不思議なことがあるとすれば父の子作りで子ができるのは竜相手だけなことだと思う。

その代わり父の遺伝子が別種に入るらしいけどぼくはよくわかんなかった。


『そういえば紫竜、知ってるか?今この大陸に人間が探索に来てるらしい。』

『ニンゲンが?カベあるのに?』

『白竜が同行してるらしいな。』


ぼくは人間を知らない。

父とかは人の姿というものになることができるけどそれは人間じゃないし。

ぼく達子竜はまだ人の姿になれないし。


それにもう話せる子竜はぼくだけなんだよ、まだ!


子竜の中ではぼくが一番お兄さんで、父が同じ緑竜が次で、黒竜と白竜の間の子が一番小さいんだよ。

そういえば灰竜はこの前おいしいお肉を人間に貰ったって言ってたっけ……


う、羨ましくなんかないし……父の領域ならお魚いっぱいだし……

でも、灰竜が食べたお肉ってどんなお肉だったんだろ?


『ちち、かいりゅうがタベタおにくしってる?』

『んあ?あー……黒竜に聞いたがよくわからんかったな。確か贅沢なはんばーぐ?とは一緒にいた人間と話してたらしいが。』

『はんばーぐってなに?』

『オレが知る訳ないだろうが。』


父は白竜と黒竜がいうには性欲の塊?っていうやつらしい。

だから物事を考えるのは浅いとこだけなんだって。

白竜なら知ってるのかなぁ?



白竜が同行してるらしい探索中の人間、きっとここにも来るよね?

来たら灰竜が食べたお肉お願いするんだ。

美味しいお肉を1人占めはずるいもんね。

そしたら父にもちょっとだけわけてあげよう。

ぼくは皆に優しい大竜になりたいなぁ……



数日後、探索をしてた人間が白竜と一緒にやってきて

お肉を頼んだら出してくれたからすごくいい人間なんだと思う。

ただ、父のせいでちょっとケンカしそうになってたけどね……


***


紫の鱗を持つその竜が領域を持つ世代になる頃

世界はひとつの転換期を迎えていた。

彼の竜はとても優しくて強く、悪意に対して鋭い善悪を理解する智の竜となり

癒の力を得た緑の竜や命を奪う存在を滅する力を得た灰色の竜と共に大陸を越え存在を世界に知られるようになることをこの時の彼らはまだ知らない……

ラストの方は多分書かない世界の行く末。

子竜勢では緑竜は紅一点ですよ。

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