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40:この声、聞き覚えがありすぎてつらい。


「ねぇ、白竜さん。黄竜ってメスでいいんだよね……?」

『えぇ、そうよ?何が気になったのかしら、お嬢さん?』


何が気になったって……

気にならずに入れなかったというか……


そう思いながら佐藤の方をチラ見したら佐藤もどこか呆けてるように黄竜を見ていた。

……まぁ、塩だったらこうはならないんだろうけどね……


『何よ人間……』

「こ……黄竜って声、なんというか……ずいぶんと男らしい声をしてるなぁ……って思って……」


正確に言えば男らし過ぎず、女性らしいとは言い難いどっちかと言えば中性ぽく感じる音程だけど。

むしろ……私の兄である萩兄の声と同じのようにも思えた。

萩兄元気にしてるかなぁ……


『気にしてるのに……っなんなのよあなた!』

「あ、うん。ごめん。」


竜の姿をしてるからやっぱり厳ついと言えば厳ついんだけどね。

なんかしゃべり方とかが小さい子みたいにも思えて、私だってさすがにどう対応すればいいのかわからずに戸惑ってしまった。


『黄竜、少しは落ち着きなさい。』

『だって白竜お姉様!』


ポフン、という軽い音が聞こえてきたかと思うとそこには神社とかの方の巫女さんとかが着そうな白い服と赤いミニスカートを履いた金髪で緑色の瞳の幼女がいた。

あ、うん。この姿ならあのしゃべり方も納得できるわ。


にしても……やっぱり萩兄の声と同じ声が幼女から発せられてると考えると……

なんとも言えないよね。

どうせなら桜姉の声ならよかったのに……


……あれ?


黄竜が地に素足のまま降りて、こっちの方に歩くたびに彼女の足が触れていた地面に草花が増えてる気がしたんだけど気のせ……いじゃない……?


「白竜さん、黄竜が歩くたびに植物増えてる気がするんだけど……」

『よく気付いたわね、お嬢さん。それがあの子の特性よ。』


なんていうか、竜達の特性ってホントそれぞれ違うんだね……

赤竜は眷属を生み出す力で青竜は両刀(意味深)

んで、白竜があの威圧で黄竜は植物を増やすってことでいいのかな……?


「あれ、じゃあ黒竜の特性って?」

『あら、聞いていなかったの?彼の特性は日が暮れてる間だけ大陸内を見渡すことができるのよ。』

「……え、まじで!」


白竜曰く、文字通りこのリン大陸の中なら何処で誰が何をしていようともそれが見えてしまうらしい。

つまり青竜が夜にお盛んだったらそれを見続けるはめになるのか……

それは可愛そうだな……


『ちょっと、無視しないでよ人間。』

「あ、ごめん。」


んー……なんか黄竜の声のせいで調子が狂う……

気をつけないと間違って萩兄って呼んじゃいそう……


まぁ、そんなこんなで私は無事に黄竜との対面を果たせたのだった。

いろいろと問題はあるけどね……

なんてことはない。幼女の声は幼女らしくなかったって話。

オモチの兄はひょろいです。

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