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35:黒竜のお宅再び

――結局、あのショタ爺が突然やってくることもなく無事にぐっすりと眠って朝が来た。

もしかしたらあの念書の効果があったのかもしれないね。


「うん、平和っていいね。」


まぁ、一番平和なのは元の世界の方だけどね。ホントに……


***


いろいろとショートカットをして黒竜の洞窟前。

ホントは1回昨日のとこに行って佐藤にも結界に触って貰おうかと思ったんだけど……

それは後にすることにした。


「黒竜さーん、いますかー」

『なんだ、娘よ。』


呼んどいてなんだけど……ホントに出てくるとは思わなかったよ。

良く見たら黒竜の後ろから灰色竜も顔を出していた。こう……ひょこって。


「あ、うん。聞きたいことあるんだけどいい?」

『あぁ、我に答えることができるものならばな。』

「んじゃさっくりと言えば結界のことなんだけどね。」


私が黒竜と話をしてる間、佐藤は何を思ったのか、灰色竜と遊んでいた。

楽しそうでなによりだ。(現実逃避)


それからしばらく私は本気の方で黒竜と結界の話をしていたけど

だいたいは私が思っていた通りらしい。


「やっぱりあの砂漠みたいなとこが赤竜のおうちなんだね」

『うむ。アヤツには眷属を生み出す力がある故にあらゆる者を糧にしようと拐す……』

「じゃああの赤いとかげの……なんだっけ緋化は灰色竜を誘拐しようとしたってこと?」

『そこは少し違うな。緋化自体が捕食能力を持っておる。』


つまりそういうことか……!!


「灰色竜危なかったんだね。」

『そうだな……我だけで守れたか……』


黒竜曰く灰色竜はやっぱりまだ若者世代になるから好奇心が旺盛らしい。

若者……?

ついでに、私はいつも灰色竜って呼んでたけど、灰色竜にもちゃんと名前があって灰竜かいりゅうというらしい。

……灰ってかいって読めるのは知らなった……


「んー……とりあえず森のとこ探索してもいい?私が行ける範囲って今はここくらいみたいだから」

『あぁ、構わぬよ。出来るのなら少しここの生物を間引いてくれぬか?』

「ていうか生物いたんだ。」

『あぁおる。だが我が子にはまだ狩れぬのでな……』


いや、狩りに行かせなよ……

可愛い子には旅をさせろっていうのに。


黒竜はどうも子供に対して過保護の傾向にあるらしい。

ダメだ……早くなんとかしないと灰竜が引きこもりになりそうな気がする……


「黒竜さん!!甘やかせてばかりいたんじゃ灰竜も育たないよ!!精神的な意味で!」

『な……なんと……』


ていうか間引くなんてめんどくさいし。

そんな口に出すことができないことを考えてたら佐藤が顔に浮かぶ汗を服の襟で拭いながら私達の方に来た。


「あんま話聞いてねぇけどさ。子供ってのは親の背中を見て育つらしいぞ?黒竜」

『ほう……人の子らは詳しいの……』

「それに黒竜さん!親っていうのは木の上に立って見るって書くんだよ。見守りたまに手助けするのもまた親の務めなんじゃない?」

『ふむ……灰竜よ。狩りを行なってみるか?』


黒竜の言葉を聞いた灰竜は嬉しそうに頷き、鱗に包まれた尾を振っていた。

え、まって。灰竜は犬なのか?


……まぁ、私も佐藤もうまいこと言ったけどその実、竜親子の面倒を見る義務はないからね?

エサを自分で取れないようじゃ灰竜は長生きできないし。


……決して面倒を見たくない訳じゃない。うん、決して……

うちの確定竜種:黒竜、赤竜、灰竜。

一応白竜もいるよ。あと黒竜はママン気質があるがパパンです。

赤竜達のぺろりは両方の意味で。

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