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130:現実逃避とは理不尽なものだ

「粗茶ですがどうぞ」

「あ、ありがとございます」

「いただきます……」


私達は遭遇したビネガーさんのお母さんにおうちでお茶をいただいた。

ていうかビネガーさんの親が住んでる家には使用人もいるけど今ではそういう区別がないんだとか


あと、その家は今ビネガーさんが住んでる家と違って小さいし、木造だけど……

正直、こっちの方が私的には馴染むというか……ね!


にしても、ビネガーさんから聞いてた感じとはなんか違う気がするよなぁ……

初めて対面したビネガーさんのお母さんを観察しながら私はそう思ったけど

ビネガーさん、嬉しそうに話をしてるからまぁいいか。


「ワイルズが来てると聞……久しぶりだな。」

「久しぶりです、お父さん」


のんびりとビネガーさん達を観察してる間に外から入ってきたのは、ビネガーさんと同じ髪色のおじさんで

その会話を聞いて、その人がビネガーさんのお父さんなのだと知った。

ていうかビネガーさんってお父さん似なんだな。


「そちらのお2人は?」

「今ワタシの家に居候してるサトウさんとモチヅキさんです」

「あ、初めまして望月杏子です……」

「佐藤和樹です……」

「あらご丁寧に」


よくよく考えたらビネガーさんのお母さんとは挨拶もしてないんだよねぇ……

ビネガーさんのお母さん、ビネガーさんにしか視点いってなかったから。


……そう考えるとやっぱりこの人は少し病んでるんだろうなぁ……

あ、別に差別的意味じゃないからね!?


それから、ビネガーさんのお母さんはビネガーさんを連れて別室に移動して……

そのことにビネガーさんは申し訳なさそうな表情をしてたけど別に気にしなくていいのにね。

まぁ、それで今部屋には私と佐藤とビネガーさんのお父さんだけが残ったわけだけど……どうしたものなんだろこれ


「……妻が、すまないね……」

「え、あぁ……気にしないでください。こっちも気にしてないので」

「つーかあの人、ホントに自分の息子を認識してんのか?」

「あぁ……」


佐藤がずいぶんなことを言った瞬間、ビネガーさんのお父さんは少し悲しそうに目を細めていた。


「妻はシア……ワイルズの弟を亡くしてしまってから心が壊れてしまってね……」


んん?ビネガーさんの名前にあるシアってもしかして弟さんの名前だったの??

そのことをビネガーさんのお父さんに聞けば肯定が返ってきた。

というか弟さんが亡くなって、ビネガーさんのお父さんがお母さんを連れてオレイン国に来る前に名前に弟さんがいたことを忘れないようにとその名を入れたらしい。


ていうかこの世界の名前の概念ってよくわかんない……


「でもあの反応って……」

「えぇ……あれでもあの時と比べればよくはなってるんですけどね……」


お母さんは確かにビネガーさんをビネガーさんと認識してたけど、今はたぶん混ざってるんだろうなぁ……

そしてビネガーさんはそれをすぐに察したけどそのことを否定することもしないで話を合わせてるんだろうな。あの人は結局優しい人だから


「でも現実逃避のし過ぎってやっぱダメなことな気がする……」

「まぁ、俺らにはどうしようもないけどな」

「……うん、そうだね」


代用品……ってよく考えたら佐藤達もそうだったのにこの世界の人達ってホント何かがずれてる気がするんだよなぁ

とりあえず私はビネガーさんのお父さんに畑を見せてもらう交渉をすることにしようかな!

そっちが第2目的だし!

代用品を用いる現実逃避って実はどうしようもないからスルーするしかなくて

そして当人も現実逃避する図。

いや、オモチ的にはもうひとつの目的を達成したいだけだよ?うん

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