129:やってきたは、オレイン国
――天気も風もいい感じで、絶好の空の旅日和とも言える日
ビネガーさんの家の中庭から私達はちょっとオレイン国まで行くことになるわけだ。
「じゃあビネガーさん、シートベルトしてくださいね」
「しーと……これですか?」
ビネガーさんは椅子についてるシートベルトを引っ張って、足の間らへんにある留め具にカチリと差し込んでいた。
もちろん私もシートベルトは締め済みだよ
飛ばすのはやっぱり何回やっても緊張する……
ゆっくりと鳥人間号改を浮かせ、そして飛ばして……
あっという間にちょうどいい高さになったから私はオレイン国に向けて鳥人間号改を発進させた。
飛んでる間、ビネガーさんははしゃいだ声をあげることはなかったけど
目だけはとても輝かせていた
時々鳥人間号の中でおやつを食べて、2回目のおやつを食べ始めた頃にその国が目に入ってきたのは。
オレイン国は三日月みたいな形をした不思議な島国で、とりあえずこのどのあたりで野菜とか作ってるのか知らないけどさ
「ビネガーさん、とりあえずどの辺に降ります?」
「そうですね……」
ビネガーさんが指示したのは、オリーブ双国側の島の先端らへんだった。
まぁ、移動は社畜号を使えばいいもんね。
到着予定地には誰もいないし、何もない。
ゆっくりと鳥人間号を降下させながら辺りに視線を向ける。
ていうか、ホント何もないのね……
地に足をつけて、私は軽く伸びをしてもう一度辺りを確認したけど……
この辺は畑もないのかぁ……
「とりあえず第一村人と遭遇しなきゃ!」
「だいいちむらびと……??」
ビネガーさんの疑問は聞かなかったフリをするけどね。
とりあえず鳥人間号をしまって、次に社畜号を出す。
リン大陸じゃないんだから適当に走らせてたら誰かしらには遭遇できるだろうし
……それともここに1回目印をつける……?
「ビネガーさん、ここに目印をつけて佐藤を連れてくるのもありかな?」
「そうですね……ここなら何が来てもわかりそうですし、大丈夫だと思いますよ」
「んじゃちょっと佐藤連れてくるよ」
目印を降り立った場所につけて、出したばっかりの社畜号はもっかいしまって
かるーく佐藤を連れてきた。
「へぇ、ここがオレイン国か……のどかだな……」
「農業国家らしいもんね。ほら行こう、はやく行こう!」
とにかくまずは誰かしらに会わないとビネガーさんの家族がどこにいるのかもわからないもんね。
2人が社畜号に乗り込んだのも確認して、ゆっくりとペダルを漕いで前進していく
とりあえずどのくらいで第一村人にあえるか、それが問題だ!
結局、私達がこの国で村じゃないけど第一村人に遭遇できたのは三日月も5分の1くらい進んだとこだった。
しかも……
「まぁ……もしかしてワイルズ……?」
「あ、お母さん……お元気そうで」
いきなり第一目的完遂ってどういうことだよ……いいことだけどさ!
てことでオレイン国。
ていうか、ビネガーの親の呼び方どうしようかって今更悩んだわけですよ。
第3者に言うときは父、母。本人に言うときはお父さん、お母さんが妥当かなと。




