128:諦めのはやいサトウ
――部屋を借りると意気込んでいた佐藤は数日後、あっさりと家探しを投げ出していた。
「……ていうか早くない?」
「条件に合うのがなかったんだよ……」
そしてこんな風にやさぐれてたりする。
なんでも、やっぱこの辺は家賃がちょっと高めだし、金額的にいい感じのとこはどれも満室だったとか
少し離れたとこでもほとんどが一戸建てだったとかでその結果だった。
「……あとは風呂なしとかまじでないわ……」
「別にいいけどさ……」
元の世界にも普通にお風呂なしの家とかあった気がするけど……
まぁ、でもビネガーさんは元々こうなることを察してたみたいだけどね。
「ビネガーさんがこの家買ったときってどうだったの?」
「この家は父が買ったものなんですけどね……」
ビネガーさんのお父さんが一括で買ったらしいけどさすがにいくらだったのかは知らないみたい。
でも結局、弟さんが亡くなり、お母さんが病んで、今はオレイン国に夫婦と従者達で移住したらしい
だからビネガーさん以外の家族がここに暮らしてたのはほんの数年だったとか。
「え、じゃあビネガーさんは最近親に会ってないの?」
「そうですね……なかなか……」
「オレイン国って確か農業のとこだっけ……」
ちょっと気になってる国ではあるんだよなぁ……
「なら会いに行きません?私もオレイン国行ってみたいし」
「あぁ……モチヅキさんなら好きなときに行けるんでしたね」
鳥人間号をちょっと改造すれば連れて飛べるし
そんな感じでちょっと軽い感じでオレイン国へ遊びに行くことになったのは言うまでもない。
ついでに佐藤も行きたがったが、高所恐怖症故に私が目印をつけたら迎えに行くことにもなった。
「とりあえず改造しよーっと」
「そういえばその空を飛ぶ乗り物は元々1人用でしたか」
「うん、でも2人くらいなら問題ないと思う程度の改造なら余裕だからね!」
改造場所はいつもの中庭。
横に2人乗りじゃなくて縦に2人乗りにして、ペダルも両方につけて……
いつものアイテムボックスもちゃんとつけて完璧!
目印はビネガーさんの親のとこにつけれたらいいんだけどなぁ……
そんな感じで今回はアル王関係のないお手軽旅行の準備はもそりと続けてた
でも、ビネガーさんの弟さんってどうして亡くなったんだろ?
まぁ、その辺はよくわかんないことだし、触れる必要もないことだから気にしないけど
「農業国……何育ててんだろうなぁ……」
「それがホント気になる!」
パンがあるから小麦粉は育ててるんだろうけどお米とかないのかな?
あとスイカ系とかも!
私としてはそっちが実は楽しみだったりするのはもちろんビネガーさんにはナイショだ。
いつから同棲になると思った?
そしてビネガー親との対面計画に移行してみる




