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125:シオの結婚

――佐藤達が見習いを卒業する試験に合格してからすでに数カ月の今日、塩とフォルさんが結婚した。


ていうか、そもそもこの世界での結婚概念がいまいちわかんないけど……



「え、指輪送ったりしないの!?」

「えぇ、モチヅキさん方のいた世界はそういうのあるんですか?」

「うん、籍に入れたりとか指輪交換したりとか」


まぁ、結婚って詳しいことよく知らないけどさ。

でも確かどっちかの籍に入れるのが一般的だと思う……


「こっちの結婚ってどうやるの?籍ってないんでしょ?」

「せき……はよくわかりませんが、国の王と契場という場所で共にあり、共に生き、共に老いることを誓います。そして血を交わすことで縁が結ばれ、婚姻となります」

「2回誓うの?」

「えぇ、王の前で誓い、契場で誓って初めて血を交わすことが認められます。そこから婚姻を結んだと発表……とは少し違いますが親しい者などを呼んで祝うこともあります」


結婚式は稀ってことかな?

とりあえず塩はフォルさんとその血を交わすっていうのをしたのかぁ……

すごいな。


「ビネガーさんはそういう相手いないんですか?」

「この仕事をしているとなかなか……」


あぁ、そっか。召喚のお仕事って地味に機密を扱う場合もあるんだっけ

それにしても、だいぶこういう小説読むのも平気になってきた気がする


「それにしてもここの書庫ってなんであんなに小説が多いんです?」

「ワタシの趣味、ですね」


とりあえず私達は塩達の誓いを確認するために移動中だったりする。

一応そういうのを見届けるお仕事もあるらしいけど親しいから、っていうことで私達に依頼という形で話が来たけど佐藤がいないのはやつは普通に仕事だからね。



契場という場所は、真っ白でガラス張りの部屋で、塩とフォルさんが扉に背を向ける形で中央に座り、私達は扉の傍でその背中を見ている。


「私、フォル・カロテンは彼、塩氷雨と死が別つときまで共に生き、共にあり続けます」

「僕、塩氷雨は彼女、フォル・カロテンと死が別つときまで共に生き、共にあり続けます」


静まり返った部屋の中に塩とフォルさんの声が響く

その声に返るのは、どこからともなく響いた耳心地のいい声


『誓い、聞き届けた。その誓いに偽りが起こる時、汝らが血は、互いを傷つけて行くだろう……』


ビネガーさんが言うにはこれで承認ということらしい。

それから2人は互いの手のひらを傷つけ、血が滲むその手を重ね合わせ、血を交わし合う

ホントにこれで婚姻は完了なんだ……


フォルさんと塩はとても幸せそうな笑みを浮かべていて……改めて2人が結婚したのだと私は認識した。


結婚……かぁ……

つまりサトウの指かみかみは意味ないんだよって話。

ちなみにじゃないけど契場で響いた声は主にリデルのものです(リデルの声とは言ってない)

ついでに言えばシオもフォルも名前が変わりません。

逆に正式書類ではフォル・[シオ]・カロテン、塩[カロテン]氷雨みたいにミドルネームぽいのが付きます。まぁ、ミドルぽいのは表記されてるだけで使われないけど。

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