123:見習い卒業試験
――私の目の前には、堂々たる【本日!見習い卒業試験開催!】という横断幕がお城どころか街中に張り巡らされていた――
なんでも、この国の場合半年に1回、こういう風に見習い卒業試験というのを一斉に行うらしい。
光白から風焔のあいだのどっかで1回、地降から闇黒のあいだのどっかで1回っていう感じに。
そしてその日が今日、ということらしい。
「カルーアさん、なんで屋台があるの……」
「あぁ、それこそ祭りごとのようなもんだからな」
「ホントに国をあげてなんだ……」
どうして私がカルーアさんといるのかと言えば、ビネガーさんはお仕事、佐藤はもちろん参加者、ゼロは本人曰くやさぐれ中らしいからとりあえず甘酒を進呈しといた。
で、私はアル王に試験の審判者役のお手伝いを頼まれたからこうして外に出てるんだけど。
カルーアさんも私と同じく試験の審判者役をしなきゃいけないらしい。
だからこうして私はカルーアさんといるわけだけど……
「審判者役ってなにすればいいの?」
「基本的に試験の見守りと不正がないかの監視だな。まぁ、そこまでむずかしいものではないから大丈夫だろ」
細かく言えば私自身はただ見てるだけでいいらしい。楽だね!
その代わりカルーアさんは見なきゃいけないとこが多いみたいだけど。
ついでに言えば、見習い試験があるのは騎士団に魔道士団、メイドさんに執事にその他の専門職とのことだ。
そういえばリゼットちゃんを尾行してたあの兄も審判者役をやってるって聞いたよ!
「……へ?なんか使えそうなのを力で作れって?」
「あぁ、ほれ、インキュバスが仕事休業中でのぅ……」
あっ……(察し
「どんなのでもいいの?」
「そうじゃのぅ……騎士団、魔道士団で使えるのならといったとこじゃの」
「わかった」
とりあえずピッチングマシンを作ってみようかな!
召喚される前に1回作ってるのテレビで見たし。
脳裏で機械もろもろをしっかりと想像して……
そして、ちゃんとしたピッチングマシンが上手にできた。
なお、野球ボールぽいものもセット済みである。
ていうか、私が作ったピッチングマシンのせいなのかおかげなのか、騎士団と魔道士団の試験会場には見学希望の人もいっぱいで、すごいことになっていた。
――ピッチングマシンが放った野球ボールぽいものがその場に立つ受験者の前を通り過ぎようとした瞬間、ボールは綺麗に切り裂かれ、それを数度こなされてその人は合格を認定された。
また別の人の時は、通り過ぎる前に魔法で撃ち落として灰さえ残らずにボールなんて最初からなかったようにも思えるぐらいにその場は綺麗だったことからその人も合格が認定されていた。
……まぁ、佐藤と塩だけど。
にしても、初めて覗いたあの時と比べると2人とも、ホント強くなったんだなぁ……
私は審判者役の席でしみじみとそう思ったのはしょうがないよね。暇だし。
一応シオも見習いだからちゃんといるんですよ。
というかめっきり出してなかったの思い出したからついでに……ナンテイワナイヨ?




