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14:いつものごはんとわんわんの力

わんわん……じゃなくてカルーア氏の情報収集能力は最後のだけじゃないです。

一体誰が覗いていたんだか。

ふと、私は一応聞いておかなきゃいけないことを思い出した。

ほら、たまねぎがダメとかそういうのあったら困るし。


「あ、そういえばカルーアさん、食べれないものとかあります?」

「食べられないものか?特にはないが?」

「そっか!」


やっぱり私達の世界の犬とは違うのかな?



――後からビネガーさんに聞いた話だけど、狼人はウルフ系の魔物とは少し違うらしい。

味覚もろもろは人間と同じで、だから食べちゃいけないものとかそういうのは個人によるらしい。

……なお、アレルギー系も獣寄りじゃなくて人寄りになるらしい?



そして夜、今日の晩ごはんはカツ丼にお吸い物。沢庵も添えてるよ!

ついでにデザートはシュークリームである。

私がいそいそとごはんをテーブルに並べていたらカルーアさんは不思議そうにその様子と料理を見ていた。


「それが異なる世界の料理なのか……?しかしどうやってそれらの材料を……?」

「あぁ、私のクリエーターの力で作ってるんですよ。」

「クリエーター……だったのか、モチヅキは。」


なんでカルーアさんがそんなに驚いてるのか聞いたら答えは簡単だった。

クリエーターの力でごはんを作る人なんてこれまで1人とていなかったらしい。

まぁ、ただ作ってみても味の想像が自身が食べ慣れてるものになるから美味しいと思えなくてすぐにやめてしまっていた。

というのが真相だったらしいけど


「お、今日はカツ丼か。うまそうだな」

「望月さんいつもありがとう。」


あの後……私がカルーアさんと話をしてた時に2人はそれぞれ戻ってきて

それぞれ別々にカルーアさんに自己紹介をしていた。

まぁ、2人は狼人という種族を知らなかったらしいけど

……ていうか教えてもらってなかったのか……



この世界において種族は多数あるのはもうわかりきってるけどその数を全て把握しているのはそれこそあのショタ爺王だけらしい。

あの王様どんだけなんだ……


「モチヅキ、おまえの世界の食文化はすごいんだな。」

「うん、まぁね。昔の人がいろいろと頑張った結果だよ。」


いや別に、この世界の人が頑張ってないとは言ってないけど。


「モチヅキさん、このシュークリームというのも美味しいですね!」


……だからなんでビネガーさんはそんなにごはんとか食べてる時だけ無邪気なの。




――誰もが寝静まった夜も遅く、青い毛並みの狼は1人中庭に佇む……

彼が小さく歌うように何かを呟くと共に足元から小さな光が舞い上がる。


『オレに見せてくれ、その全てを。オレに知らせてくれ、その全てを。』


天にある月は銀色で、暗闇に輝く金の瞳はその光をひとつひとつ視界に入れては外していくを繰り返す

これが彼の力。

これが彼だけにできる情報の集め方。


「……あの娘、相当強いな。どうする気なんだ?あの爺さんは……」


その呟きを聞いた者は誰もいない。

ただ、その姿を見てる存在はいたが。

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