115:暇を持て余したオモチ
基本的に私はどうしても暇人でしかなくて、そもそもやらなきゃいけないこともなくて……
「暇すぎて困るってやばい気がする……」
「……あの、モチヅキさん。何をしているんですか?」
「ん?暇つぶし?」
だからまたビネガーさんの家の台所を借りて今日は適当に小麦粉とかをいれたのをこねていた。
理由は単純におやきでも作れるかなって思って!
まぁ、正確に言えばおやきとは違うんだろうけど。
「珍しいですね。普通に作るなんて」
「んー……簡単なのなら力使わなくてもなんとか作れるからねぇ……ただここって火加減の調節めんどくて」
「あぁ……」
中に入れるのは焼いたお魚の身をほぐしたのと麻婆豆腐ぽいのとあと適当な野菜炒めという敢えてのチョイスだけど……まぁ、いいよね!
よくねったので具を包んで、温めたちょっと底が深いフライパンみたいなのに1個づつ入れて焼いていく
……確かある程度焼いたら水を入れたらいいんだっけ……
そんな風に料理して、普通にちゃんと出来たらしい。
陽翔がすごく食べたそうに近づいてきた。
「……食べる?」
とりあえず焼けたのをお皿に移して一番手前に置いたのをちょっとちぎって陽翔の口元に持ってってみれば、陽翔は軽く匂いを嗅いでからあっさりと食べていた。
ちぎった元の方をそのまま食べてみればなかなか美味しくできてたからよかった。
「にしてもやっぱり働かないとなんかなぁ……」
「十分に働いてると思いますが?」
「佐藤と比べたらさ、やっぱり働いてない感が強く感じる……」
一応アル王のとこでアルバイターってことになってるけどさ。
アル王からの仕事ってそもそもがないんだもん……
「うん、やっぱりアル王に直談判でもしてみるかな」
「こちらをおみやげに持っていかれるんですか?」
「持ってかないよ。これはおやつだし」
とりあえず残りは食べてもいいことをビネガーさんに伝えて、私は陽翔を肩に乗せたままアル王のとこに向かった。
「……仕事じゃと?」
「うん、暇すぎてだるい」
「そうじゃのぅ……城の仕事は手が十分に足りておるし……」
調べなきゃいけないこともないし、手伝いが必要なこともないらしい。
まぁ、だろうけどさ。
「ふむ、ならばあやつの面倒を見てもらえるかの?」
「あやつって……あぁ、ゼロ?」
「そうじゃ。あやつは城の者には警戒心が強すぎてのぅ……」
「ゼロならいいよ」
それじゃあ頼んだって言われて、私は頷いてさっそくゼロのとこに向かった。
ていうか元々よくゼロのとこに来てたんだからさほど問題もないしね
そんな感じで、私にはある意味新しくゼロの世話役という肩書が増えた。
まぁ、さほどやることないけどね!!
いっそのことゼロの部屋を作り変えたらアル王は怒るかなぁ?
肩書が増えたと見せかけて実は増えてない。
そもそもお城の人からはオモチが世話役だと思ってる人のが多かったり……




