114:気付けば甘味話
もうすぐ日が暮れるくらいの頃に佐藤は帰ってきた。
もちろん肩には陽翔を乗せてたけど……なんていうか、精神的に疲れてる感?
「なんかずいぶんといつもと違う疲れ方じゃない?」
「あー……まぁ、いろいろあったからな」
「そっか。今日は胃に優しい方がいい?」
何がってごはんがだけど。
天そばにしようかなぁ……
「どうせおまえのことだからそば系統なら胃に優しいとか考えてるだろうけど……確実に天そばは違うと思うからな?」
「なんでバレたし」
天そばって胃に優しくなかったのか……
じゃあおろしそば?
「とりあえずそばでいい?」
「つーかおまえがそば食いたいだけじゃねぇか……」
否定はしないけどね。
今日のごはんはおろしそば。あ、陽翔達用にちょっと小さいのもつくったけど。
やっぱり陽翔達の食べ方って可愛いなぁ……
「これはとてもシンプルで美味しいですね」
「やっぱ大根おろしなんだよ。あー……大根おろしたっぷり乗せた焼き秋刀魚もいいんだよなぁ……」
「そういやこの世界にサンマっていねぇのか?」
「調べ切れてない。さすがに調べ切れないって」
魚の名前が一番調べにくいし。
ここにある図鑑を見てもいいけど名前は同じじゃないからわからないしさ
同じような形状をしてても食べられるものとは限らないし。
あ、野菜の方は同じ形状=あっちと同じものってのは確認できたけどね!
「そうですね……なかなか食べれないものではありますから……」
「最悪クリエーターの力で作っちゃえばいいんだけどね。脂の乗ったサンマ……っ」
大根おろしたっぷり乗せた焼き秋刀魚も食べたいし、サンマの煮つけも食べたい……
そう考えたら食べたいのってだいぶあるんだよなぁ……
「もういっそのこと食べたいのリストアップして消費してこうかなぁ……」
「モチヅキさんはあちらの料理がホントに好きなんですね」
「まぁね!こっちにはないものが多いから余計にっていうのもあるけど」
そうだ、今日のデザートは抹茶シュークリームにしよう。
そう呟いたら佐藤がおろしそばをあっという間に食べ終わらせて催促してきた。
……おまえはいつから抹茶党になったんだ。
「そういえばこの世界の男の人って甘党なの?」
「ワタシは結構好きですが……どうでしょう?そもそもどうしてそう?」
「カルーアさんとかもだし、アル王も結構甘味を要求してくるしさ、リゼットちゃんがお兄さんに貰ってくるように言われてたらしいからさ」
「カルシウム国の……まぁ、ここらでの甘味はそうそうに食べられるものではありませんから」
それにそこまで甘いものじゃないらしい。
ジュースは結構甘い感じしたけどジュースの甘さじゃダメなんだと
……要訳すればやっぱり甘党が多いってことだよね……
「そもそも甘いものってのが貴重なんだろ?班のやつらが言ってた」
「まじか!!だからあんなに反応がいいんだ……」
今度どら焼きでも持たせようかなぁ……
そんな感じで気付けば甘味トークに花が咲いたのは言うまでもない。
こんなはずでは……
この世界ではなぜか男の方が甘党です。
リゼットも甘いのが好きだけど兄ズの方がお土産に歓喜してます。
知らない場所だと同等に見える=同等じゃないからね。
海鮮は特に未確認が多い図




