13:オモチと青わんわん
青わんわんとビネガーは実は少年期からのお友達だよっていう設定。
まぁ、あんまりでてこない話題になりそうですが。
ビネガーさんに青い毛並みの狼さんのお迎えを頼まれて私は1人で街にきた。
そういえば初めてだった。
1人でビネガーさんの家から出たのって。
そう思いながらビネガーさんに聞いた道順を歩いていればすぐに沢山の人が行き交う道に出た。
あの人が言うにはここに居ればかならず見つけることができるらしい。
――そして、私はみつけた。
その獣は、とても綺麗な青色を持ち、何よりも周辺を警戒するように見回すその目は綺麗な金色をしていた。
「あの!」
「……なんだ?」
「もしかしてビネガーさんのお客さんですか?」
青い人は一瞬私を見定めるような視線を向け、それからすぐに納得したように頷いた。
「なるほどな、彼の元に異なる世界の者がいても不思議ではないか。」
「間違ってなくてよかった。青い毛並みの人って言ってたから」
「あぁ、それが的確だろうな。で、案内してくれるんだろ?娘」
また娘って言われた。
まぁ、名乗ってないし仕方ないのかなぁ……
「うん、こっちだよ。」
お迎えが頼まれたことだし、ちゃんと案内でき……る、し……
あれ、この道でよかったっけ?
「娘、ビネガーの家へはその横の道だ。」
「あ、こっちか。ありがと青わんわん」
……あれ?今私なんて言ったっけ……?
そう思いながら青い毛並みの人の方を振り向けばその人は驚いたように目を見開いていた。
「青、わんわん……だと……?」
「あ、ごめん。えっと狼人なんだっけ……わんわんじゃ失礼だよね……」
私の中では狼と犬は似たようなもの感があったからついわんわんって言っちゃったわけで
よく考えたら失礼なことだったよね……
「そうか……オレが狼人だと言うことも聞いているか。」
「うん、あ、私は望月杏子って言います。」
「モチヅキか。オレはサテラ・カルーアだ。」
青わんわんもといカルーアさんは私を急かすことはしなかった。
というか私よりもビネガーさんの家までの道のりをわかってそうな気がするけど……
なんでビネガーさんは私をカルーアさんのお迎えに出したんだろ?
その答えはすぐにわかることだったけど私はそんなに深く気にしているわけではなかったから
さほど驚きは少なかった。
「ただいま戻りましたー?」
「あぁ、おかえりなさいモチヅキさん。いらっしゃい、サテラ」
「世話になる。」
その短い会話で私も察した。
ビネガーさんとカルーアさんは顔なじみで、カルーアさんはよくここに泊まるんだっていうことが。
……狼ならお肉系のがいいかな……
「そういえばモチヅキはどこで生活を?」
「あ、私とあと2人ここでお世話になってるんだよ。」
「そうか。だからおまえがオレを迎えに来たんだな。」
話してわかったことは、カルーアさんは旅をしながら情報屋をしているっていうことで
その情報の仕入れ方は他の誰にも真似することができないっていうことくらいだった。
なんというか謎が多いわんこだ。




