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103:彼らの知る術は特別

アル王の部屋から出て、ある意味歩き慣れた道のりでゼロがいるあの部屋に向かうのもこれで何度目か。


「ゼロー元気ー?」

「望月。……完全にこちらに残ることを決めたの?」

「よくわかったね。そんなの」

「世界が認識してることならわからないことはないよ。ボク達(・・・)はね。」


敢えて何も言わないけど……やっぱりそういうものなのかなぁ……


「望月は後悔してる?」

「してはいないよ。もったいなかったかなぁとかは思ったけど。」


もうちょっと桜姉の声聞いとけばよかったとか思うよね。

萩兄の方は黄竜似てるから割と平気だけど。


「……望月はさ、この世界の始まりの話を知ってる?」

「始まり?……クラークさんが書いた小説なら」


私の答えにゼロは一瞬思い出すような仕草をして、すぐに思い出したのか納得したように頷いていた。


「カーデン・クラークの書いたものだよね?あれは限りなく真実だから結構嫌いじゃないよ」

「んん?読んだことあるの?」

「初めて発売された時にね、ちょっとちょうどいいタイミングがあって……」


ゼロはそう言いながら目線を逸らしてたけど……

これは自分で買ってないパターンだな……

まぁ、いつ発売されたものかは知らないけどね!


「でも限りなく真実ってことはどこか違うとこあったの?」

「そりゃぁ……とは言ってもほんの些細な部分だけだけどね。」


まぁ、なんとなくあの辺かなーっていうのはあるけど!

もう1回読みなおそうかなぁ……


「でも……望月は色の濃い話は苦手って言ってなかったっけ?」

「ん?え?あの小説そんなに濃くない歴史ものだったけど??」


あれ?私の知ってるあの小説とゼロの知ってる小説には相違があるぽい?

そんなことを考えているとゼロはやっぱりすぐに理由がわかったのか、納得していた。


「そういえばあのハジマリの小説は重版された時に修正してるんだっけ。」

「え、そうなの?」

「うん。確か子供も読めるようにを前提にするようにって修正してたはず」


……待って、つまりあのハジマリの小説って……

よくよくゼロに聞いてみれば一部分がだいぶ描写が過激だったらしい。

……うん、とりあえず改変済みでよかった。


「でもそういうことならその初版本もビネガーさんのとこにあるかなぁ……」


だいたいの書庫はもう一通り見てたつもりけど。

もしかしたら見てないとこにあるかもしれないし……


「いいの?彼のハジマリの初版は成人以下は購入禁止だったけど」

「……まじで?」


ゼロはあっさりと頷いてたけど……

人ってさ、ダメだとわかってるものほど試したくなるよね……!

まぁ、そういうのなら見た時点でダメージ受けるけど


「もともとあの小説の初版自体あんまり数がなかった気がするけどね」

「まぁ、だいたいダメ元だからね。でも面白い話をありがと、ゼロ」

「どういたしましてーって、言うんだよね?」

「うん」


それにしても、【彼のハジマリと終わりなき夢】に年齢制限がつくものもあったのはホント知らなかったなぁ……

まぁ、多分。ビネガーさんに聞いてもわかんない気がするけどね。


ビネガーさんの家に戻ってあの小説の初版本のことを聞いてみた結果

あるらしい……例の初版本が!!まじか……

初版は成人向け、重版後から万人向けな歴史小説。あったらやだわ

まぁ、カーデンが書いてた小説でそういう展開になったものはこれだけという裏設定。

さぁ!進展させるよ!(進展するとは言ってない)

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