102:凹んでからの開き直り。
「望月。」
「……佐藤……」
音の消えた携帯を片手に私はどれだけぼんやりとしてたんだろ……
呼ばれて顔をあげれば珍しく心配そうな表情をした佐藤がそこにいた。
「……ていうか佐藤、何その顔」
「……おまえな……人が珍しく心配してたら……」
もちろんわかってるけどさ……
やっぱりもっと後に言えばもうちょっと家族と話せたのかなとか思うじゃん……
後悔とはまた違う感じのが電話が切れた時からずっとあって
こう……なんていうか、寂しいというか、悲しいというか……
「萩く…………おじさん達がおまえを忘れるわけないだろ」
「なんで言い直したし……」
でも、確かにそうかもしれないよね。
私自身、内心で萩兄とか桜姉とかに忘れられてたらどうしようっていう気持ちがずっとあって……
正確に言えば怖かった。
だからあの電話が繋がったことは私にとっても僥倖であり、不安が解消された出来ごとだった。
「くっ……佐藤に慰められるとは……っ」
「だからおまえの中で俺はどういう立ち位置なんだよ……」
……私の中での佐藤の立ち位置……?
佐藤が何気なく言った、その言葉が何故か妙に思考の中に留まった気がした……
***
「ていうことで、答え合わせといこうじゃないかアル王!」
「答え合わせでもなんでもないじゃろうに……」
「結局、もし帰りたいって頼んでも帰れないんでしょ?」
「人の話を聞くものじゃと……なんじゃ、気付いておったのか」
どんだけ人をバカにする気だこのショタ爺は。
「そもそも、アル王の言葉に100の真実があったことってないでしょ」
アル王が話すことはだいたい4から5割の真実しか言わないうえに残り分は判りにくい嘘を混ぜてくるから厄介この上ないよね
「ふむ……気付いておったか……」
「アル王の場合、ホントのことが含まれなさすぎなんだって。」
まぁ正直、アル王曰く帰れると称されたあれの先がどうなってたのかは気にはなったけど。
絶対碌な世界じゃないと思う。それだけは妙に納得できた。
「そういえばさ、リデルさん達の正体って……気づいたらどうなるの?」
「さぁのう?」
どうなるのかも含めて試してみればって言われた気がしたけど……ていうか絶対内心で言ってるな、このショタは。
とりあえず、先にゼロのこと終わらせようかな。
もうひとつ気になることがあるけど……それは人に相談するようなものじゃないもんね。
「ホント、アル王って相談に値しない人だよね。」
「……なんか堂々と悪口を言われた気がするんじゃが?」
「そんなことよりも!ゼロってずっとあのままなの?」
「あやつはなぁ……もうある程度落ち着いておるから出してもいいんじゃが……」
なんでも、“彼ら”が外で行動する場合、必ず自分の為の場所というものが必要らしい。
ゼロの場合はそれを持ってなかったから理性崩壊という状態に近かったらしいけど
「じゃあいいか。」
「なんともまぁ、あっさりと……」
所詮居候してる身だからね。
引き取るなんてことも言えないし。
まぁ、アル王との話はもういいか。ゼロのとこに行くかな
「ホント望月はわしに対して優しさというものがないのぅ……」
なんで私がこのショタ爺に優しくしなきゃいけないのさ。
別に嫌いじゃないけどね!
いろいろと眠過ぎた・・・・・
それはおいといて、オモチは根本的に初対面時にこいつ胡散臭いなと認識した故にアル王に対して辛辣です。・・・優しくないです。
アル王のとこでアルバイターしてるけど。
ただし、サトウの存在はオモチにとってはある意味救いです。
幼馴染故にね!!!




