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101:そして、通話終了のおしらせ。

――もう、何度聞いたか忘れたその音に私はどことなく今だけは安心していた……


「あ、萩兄。」


相変わらず3コール内に萩兄は出て、家族内で順番に代わってもらって……

お父さんに変わってもらった時、お父さんは


『……決めたのか。杏子』

「お父さんってさ、なんでそんなすぐに気付くのさ……」

『まぁ、これでも3人の子の親だからな……』


気付かないことの方が多いけどな、とお父さんは小さく自分で付け足してたけど。

何に気付かなかったのか……聞かない方がいいんだろうなぁ……


「多分だけどさ、そのうち電話も繋がらなくなると思うんだよね……」

『そうか……和樹君の方はどうなんだ?』

「あ、そうだった。佐藤もね、おじさん達と話させたいなーって」

『それなら大丈夫だ。あいつらもういるからな』

「あ、そうなの?じゃあ変わるわ。佐藤ー」


佐藤は私が呼んだことに嫌そうに立ちあがり、のそりのそりとこっちに歩いてきた。


「はい、チェンジ。」

「……まじかぁ……」


どんだけしゃべりたくないんだよおまえは。

一応仲良かったでしょうが、佐藤の家も。


……携帯の向こうも佐藤のとこの……おばさんに代わったんだな。

ちょっと離れててもおばさんの声が普通に聞こえてくるんだよねぇ……

まぁ、なんて言ってるのかわかんないけどさ。


とりあえず佐藤の顔色を見る感じ……青くなって赤くなって……あ、また青くなった。

ていうか2回目の青くなった相手は多分おばさんじゃないな。

にしても、佐藤ってこんなに顔色かわるんだ……

何言われてるんだろ?まぁ、聞いても答えてくれないだろうけど。


それからさらに数時間……


「望月、もう代わってくれ……」

「佐藤……ずいぶんやつれたね。もしもーし」


また電話に出て、返ってきた声はおじさんだった。

そういえば佐藤のおじさんってお泊りした時くらいしか会ったことなかったんだよなぁ……


『あぁ、望月んとこの杏子ちゃんか……うちのバカ息子が悪かったな……』

「いいえー逆に佐藤がいて助かりましたから」

『……あの和樹が、か?』


後ろで盛大なくしゃみをしてる佐藤の姿を横目で見ながら

おじさんの話も聞いた。


ていうかおじさんも若い頃はこういう展開に憧れていたらしい……


さて、おじさんとの話も終わって、今また私は萩兄と話をしている。

ちゃんと……伝えなきゃ……


「萩兄、私……私達ね、帰らないことにしたんだぁ……」

『そっか……寂しくなるね……』

「あと電話もできなくなると思う」

『……まぁ、こうして通話出来てること自体奇跡みたいなものだもんな……』


萩兄は小さく元気で、と電話口で言った直後だった。

携帯の向こうから何の音も聞こえなくなったのは……


ていうかこのタイミングで使えなくなるのかぁ……もうちょい空気読もうよ、世界……

てことでオモチの携帯はただの写真を撮ったり保存したり音楽が聞けたりするだけの機械になりました。

通話も通信もできなくなったので!

こう考えると世界は空気を読んだのか、読んでないのかよくわからないという……

さて、回収してないフラグあったか覚えてないや……残ってたらちゃんと回収させますよーゼロのこととか

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