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98:ただ糸電話で遊んでるだけ

「これがイトデンワ?」

「うん、こう糸のとこ張らないとダメだからね。」


私は今、例のあの子のとこ……もといゼロのとこに来ている。

糸電話を持ってね!


「もちづき、きこえる?」

「聞こえるよー」


あのマジックミラーぽい越しではないよ。ただし物を通すことが可能な結界みたいな壁は張ってあるけど

そんな処置になったのも彼が落ち着いてきたから


ゼロが話して私が話しての順番を繰り返してたらゼロはすこぶるキャッキャしていた。

うん、その喜んでる姿はやっぱりどう見ても女の子みたいだよなぁ……


「ゼロはアル王と話さないの?」

「アル・キングスはきらい!」


その辺のことはさすがに私も何があったのか知らないけど……

ゼロはアル王が嫌いって言うけど多分苦手なんだと思う。

ついでにリデルさんとカイルさんも苦手らしい。


「気になってたんだけどさ。白竜さんもゼロのこと知ってるし……もしかしなくてもリデルさん達に近いの?」


何が、とは言わなかったけど。

ゼロは私をちらっと見てから糸電話でないしょーって言っていた。

……なんとなく、クラークさんが書いてたあの小説に出てくる子供がゼロに似てる気もするんだけどね。

さすがにそれは言わないよ。


当たってたら嫌な予感しかしないし。


「もちづきはあのイッショにいたのがおきにいり?」

「一緒にいた?どれだ」


どのタイミングのことなのかもわからないし、捕まえたときのだとアル王抜かしたら結局だいぶ人いるし……


「テントいっぱいのときの」

「あぁ、塩は知り合いだよ」


正確に言えばクラスメイトだけど。

ただ、私の回答がよくわからなかったのか首を傾げていた。


「シリアイなのに手、つないでたの?」

「はぐれたけどね。ていうかそのくらいから見てたの。」


ゼロってなんとなく、自分の存在感を隠すのがうまいっていうか隠れるのがうまいっていうのか……

うん、よくわかんないや。


「さてと、そろそろ帰るかな。」

「もういっちゃうの?……もちづきは、ほんらいのバショにもどるの?」

「んー?佐藤が行かないなら行かないよ。」


うん、結局私にしたらこうなんだよね。

まぁ……お父さんは気付いてたみたいだけどさ……


「ていうかゼロ、君にはこれを送ろう!」

「なにこれ?……こくごじてん……???」


いや、別に。脳内変換しにくいなんて言ってないよ?

まぁ、辞書って読むのは楽しいし……


「ついでにこれも。私の世界のだけどね」

「こうじえん……こっちはシャシンいっぱいだ!ずかん?」

「まぁ、なんとなく読んだらいいよ。ここって物がないし。」

「ありがと、もちづき」


とりあえず私はそのままゼロがいる部屋を出て行った。

にしても……ゼロのしゃべりってあんなに幼かったっけ?

ゼロルームことあの水晶ぽいあれがいっぱいの部屋は中にいる人の意識によって変化する

オモチはたまにずれている。

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