番外編13:とある世界の兄と姉その2
またオモチの兄、萩視点だよ!
ある意味96話の続きであり、次話である97話の同時進行と思われる。たぶん
――杏ちゃんがいなくなってもう何日経ったことか……
どこに探しに行けばいいのかもわからなく、ただ家でやきもきすることしかできなかったそんな中。
その小さな変化は確かにあった……
「……あれ、ここにあった杏ちゃんの携帯は?」
「え?触ってないけど……ないの?」
発見したとき、すでに充電が怪しかった杏ちゃんの携帯が今朝ついに沈黙して。
とりあえず充電器に刺してたはずの傷だらけで真っ白な杏ちゃんの携帯はついさっきまで確かにあったはずなのにそこにはなく……
近場を見回してみてもなくて
「……どういうことだろ……?」
「わかんないけど……」
まぁ、杏ちゃんが消えたこと自体不思議以上の何者でもないし……
そんなことを考えていたときだった。
僕の携帯が震えたのは。
相手を見ればそこにはなくなったはずの杏ちゃんの携帯の番号で……
恐る恐る自分の携帯を耳に当てれば……
『あ、萩兄?』
電話の向こうから聞こえてきたのは聞き慣れていた消えたはずの妹の声だった……
「杏ちゃん……なんで……」
『よかった。案外通じるものなんだぁ』
話を聞けば、杏ちゃんは異世界にいて、力というものを使って携帯を作ったつもりだったがそれはただの呼び寄せだったらしい。
よくわからないけどカズくん達も無事だということだった。
「杏ちゃんは、どうするつもりなの?」
『んー……考え中!家族が恋しいのもあるんだけどさぁ……』
いろんな知り合いができたから、だからこそ迷っているらしい。
でも、それが杏ちゃんらしいなって僕は思えた。
それからしばらく桜ちゃんに代わったり、父さん母さんに代わったり話せることだけ話せた気がした。
僕達としては、杏ちゃんに帰ってきてほしいけど……
こちらのことを考えるとそれを強引にお願いすることもできないし……
『萩兄、また電話するねー』
「うん、待ってる。」
杏ちゃんとの通話はそこで終わったけど。
よかった、杏ちゃん生きてた……
それが僕達にとって一番喜ばしいことだった。
それから、何度か杏ちゃんから電話がかかってきて。
その度に僕達は杏ちゃんの話を皆で聞くようになった。
ただ、不思議なことに杏ちゃんの電話は何故か全然電池が減らなくなったらしい。
……それでも僕達はまだ、杏ちゃんがどちらを選んだのか聞いていない……
きっとそのうち話してくれるだろうから……
「あらまぁ、和樹ってばそんなことになってたのねぇ」
「そうみたい。和樹君ってホント不器用よね。」
……たまに、カズくんちのおばさんが来るからこのことを伝えればそんな反応が返ってきたのはある意味しょうがないのかなと思えるんだよね。
おばさんはいい意味でも悪い意味でも動じない人だから
「ところで異世界ってどこだい?」
……いや、ただわかってないだけなのかもしれないけど。
まぁ、通話できちゃった!って話。
でもおそらくはネットやメールは通じない系。
呼び寄せ系はあれだよね。転移を覚えたからね。それでってことで。




