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自殺  作者: 真貴人
9/11

最終章

「ついた・・・。」


入り口前には、女性が立っていた。


「・・・」


女性は、軽く一礼して来た。


「・・・。」


彼も、軽くペコリと頭を下げる。


女性は中へと向かって行く・・・。


「(あの人も、死ぬのか・・・)」


「あれ、あの人・・・何処かで・・・。」


その時、彼の脳裏に愛する人が過ぎる・・・。




愛しの人とメールをしていた楽しい思い出が・・・


朝から番までメールをしていた時の事を・・・。


仕事中にも合間を取ってメールをしていた。


電話が苦手な事を分かっていてくれたので、優しく


「焦らないで、少しづつ克服して行けば良いじゃない・・・」


と言ってくれた事を・・・。


「違う・・・。みさとは俺の事なんて嫌いなんだ・・・。」




なんで・・・俺は君の事を好きなのに分かってくれないの・・・

俺は君がいなきゃ駄目なのに・・・君がいるから生きて来れたのに・・・


「ずっと友達でいましょう・・・」


その一言で俺がどれだけ傷付いた事か・・・。


分かってた・・・。分かってたんだよ・・・。

俺とメールしてたのは、同情や哀れみからだって・・・。


君の気持ちは俺じゃなくて、アイツに向いていた事も・・・。



俺が誕生日プレゼントを贈ってあげたいと言った。


でも、君は断った・・・。友達だから貰えないと・・・。


アイツには住所も教えたのに、俺には教えてくれないんだね・・・。

バレンタインにチョコを送る程の関係だと言う事も知っている・・・。

去年のクリスマスにアイツと会った事も知っている・・・。


そして、それらを全て俺に隠している事も・・・。




「でも、良いんだ・・・。もう、良いんだ・・・」


彼は呟いている。


「みさとは幸せになってね・・・。

 23年間生きて来て、こんなに人を愛したのは初めてだったよ・・・。」


彼は愛に飢えていた。


時にはネットで出会って想いを寄せた彼女に、愛情を強要する事も有った。

他の男とはメールしないように告げ、束縛した事も有った・・・。


それを彼女が嫌がっている事も分かっていた・・・。


それが悪い事だとは自覚していたが、

それ程までに歪んだ愛だったのだ・・・。


歪んだ強き愛。なんと皮肉なのだろうか・・・。




「もう、行こう・・・。」


だが、彼を止めるかのように、更に色んな人が脳裏を過ぎる・・・。




「バーーチャンのぶんも…たくまし…く……」


大好きだった、バーチャンの事が・・・。


「そーですか。若いとは財産ですね。何でも出来る。」


「お兄ちゃん、顔色悪いの?これあげるから元気出して?」


電車の中で出会った家族連れの事が・・・。


「残った者の悲しみなど・・・身勝手に死ぬのですよ。」


偶然出会ったあの老人の事が・・・。


そして・・・


「・・・」




「さっきの・・・女の人・・・?」


「・・・」






「君は、どーして死ぬの・・・?」



「そして・・・俺は、なんで死ぬの?」



「なんで、死ななきゃ・・・いけないの・・・?」



彼は泣いている。何故泣いているのかは自分でも分からない・・・。




「バーチャンはなんで死んだの・・・?」


「オジイさんの息子さんはなんで死んだの・・・?」


「君はなんで死ぬの・・・?」


「俺は、なんで死ぬの・・・?」


「俺は・・・俺は・・・」


「俺は・・・」






この日 彼は 自殺した 





そう 彼は、樹海で死んだのだ。




今までの 彼は・・・死んだのだ・・・

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