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自殺  作者: 真貴人
6/11

第六章

旅館に着き、手続きを終え、部屋に入る彼。


「懐かしいな・・・」


「・・・」


彼はふと、彼女の事が気になって、例の馴れ合い掲示板へ携帯から繋いで閲覧してみる。




すると・・・。こんな書き込みが・・・




592 :みさと :2007/11/12(月) 21:33:49 ID:???


私は信じてる・・・。まきちゃん(彼のHN)は私の為に帰って来るって言ったもん。

自惚れでも良い。私は信じて待ってる・・・。


___________________________________________________________________________




愛するみさとからの書き込みだ・・・。

『文面から』は彼を心配してるのが窺える。


真意は、別だとしても・・・。


「・・・」


「ごめんね・・・。ごめんね・・・。」



彼は涙を流している。


「でも、もう良いんだ・・・。俺は終わりにする・・・。」


「俺が死んで、悲しむ人なんていないんだ・・・。」


「みさとは、幸せになってね・・・。」



彼の精神状態はもはや普通では無かったのだ。


誰が止めようが、もはや聞く耳持たないと言った感じだ。

決意は硬かった。



電車での家族連れの事も、あの老人の言葉も既に忘れているのだろうか。



そして、愛する人からの言葉も届かないのだろうか・・・。

とは言っても、偽りの言葉だが・・・。





「降りて・・・。飯を食うか。」


彼は食事の為、下へと降りていく。


『最後の晩餐』を終え、風呂に入り眠りに付く彼。


その夜、彼は夢を見た・・・





「みんなー。準備出来たわね。」


「わーい。焼肉は久しぶりだー。」


「ねえ、アイツは・・・?」


「アイツはほっとけ。バーチャン家で遊ぶ方が楽しいんだろ。

 それに、あんなクズはいない方が楽しいだろ?」


「それもそうだね☆」


「あんな奴の話はいいから早く行くわよ。」

   

「落ちこぼれが・・・」



彼は小学校から不登校を続けており、フリースクールに通っていた。

その事を良く思わない両親や親戚からは疎外されていた。


だが、バーチャンだけは違った…。

『自分らしく生きて欲しい』と

学校に行く事を強要したりしなかったのだ・・・。





「バーチャン!!」


「あら、・・・今日はみんなで遊びに行ったんじゃなかったの?」


「俺、バーチャンといる方が楽しいからいいんだ。」


「あらあら・・・。」


こうやって遊びに来てくれるのは四人兄弟の中で、彼だけだ。

バーチャンにはそれがたまらなく嬉しかった。



元旦にはバーチャンの家に親戚中が集まる。

その時も彼は肩身が狭かった。


学校に行ってない落ちこぼれと言う事で、 親戚からの風当たりが強かったのだ。


「ほら、お年玉だぞ三人とも。」


「はい。有難うございます。」


「ありがとございます。」


「ありがとうオジちゃん」


お年玉も、彼だけは貰えなかった。


「・・・」


「いらっしゃい。」


そう言って彼にお年玉を渡すバーチャン


「バーチャン・・・ありがとう。」


「いいのよ、アナタはアナタだから。バーチャンはアナタの味方よ・・・」


「バーチャン・・・」




「それより。お前、ふりーすくーるとか言う分けの分からん施設に通ってるそうだな?」


「なんで学校に通わん?あ?」


親戚で集まると決まってこのような質問をされる彼。


「あ、いえ・・・その・・・」


「ハッキリ言わんか?何故学校にいかん?」


『あんな洗脳組織に行きたくない』

『フリースクールの方が楽しい』


そう言い返したかった彼。だが、言う事が出来なかった・・・。


何よりも、フリースクールが馬鹿にされた事が悔しかったが、

彼はただ泣く事しか出来なかった・・・。


「泣けば済むと思ってるのか!」


彼に手をあげる伯父。


家族も従兄弟もニヤニヤしながら横目に見てるだけだ。


その時・・・





バーチャンが彼を、身を挺して庇った


「バーチャン!!」


「母さん。退いてくれ。その軟弱者を鍛え直すんだ。」


「止めて下さい・・・彼は優しい子です。」


そう言って伯父を睨み付ける祖母。


「う・・・」


「彼を傷付ける人は許しません・・・。 彼は私の可愛い孫です。」



止むを得ず椅子に座る伯父。





「バーチャン・・・?大丈夫・・・?」


「大丈夫よ。言ったでしょ?バーチャンはアナタの味方だって。」


「バーヂャン・・・ありが・・ど・・・」


涙で上手く言えない彼。


「ほらほら、男の子でしょ。泣かない泣かない。」



家族からも親戚からも疎外されていた彼。

だが、バーチャンだけは違った。


彼は、そんなバーチャンが大好きだった。




そんな大好きだったバーチャンが亡くなったのは5日前だ・・・。

死ぬ前に1度だけ目を覚まし思い出したように、


「ごめんね バーーチャンのぶんも…たくまし…く……」

 

と言った。



彼は一言「ありがとう」と言おうとしたが、

最後までその一言は声にならなかった・・・。


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