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自殺  作者: 真貴人
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第三章

「一応ネットの友達にも別れを告げとくか・・・。」


そー言って、自分が常駐している大型掲示板の馴れ合い板のスレッドに、


『今から死にに行く。お前ら世話になった』


と言った書き込みを残す彼。

リアルタイムで様々なレスポンスが返って来る。


『早く死んでね☆』『勝手に死ね』と言った定番の煽りのレス。


『何言ってるんだ?』『冗談言うなよ・・・。』と言った彼の身を案じる心配のレス。


が、今の彼には、心配のレスすらも全てが事務的な偽善めいた事に見えるのだった・・・。

皮肉にも、実際その推測は当たっているのだが・・・。


「何、心配したフリしてやがんだコイツ等・・・」


「ネットで出会った奴を本気で心配なんてする分けネーだろ・・・。」


その時、気になっていた女性HNのレスが目に止まる・・・

例の、メールを絶縁された子だ。


『お 願 い 死なないで。帰って来て・・・』


「・・・・・・ 」


だが、それも表面的な言葉だった・・・。


実際には、そのレスには意図が有った。


この馴れ合いサイトでのスレッド上にて、

優しい言葉を掛けて自分のHNとしての周りからの評価を上げる為で有る。


実際彼の常駐している掲示板でHNを付けてる者が美しい言葉を列挙する時は、

大抵がそういう意図で有り、 本心から心配する書き込みは希少、

いや、皆無と言っても過言では無いだろう・・・。



彼は、この女性HNと仲が良かった。

スレッドでのやり取りや、メールをしてる内に想いを寄せていたのだ。


日に日に彼女への想いが強くなっていった彼。

だが、彼女は彼の気持ちに応える事は出来なかった・・・。

あくまでも『友達でいたい』と告げられたのだ。


彼は極度の対人恐怖症からか、電話が苦手だった。

彼女と電話をしたら怖くて切ってしまうのだ。


そこで自問自答をしていた。


『なんで好きなのに電話が出来ないんだ・・・』

『俺じゃ彼女を幸せに出来ない。守れない・・・』


自分の無力さを痛感したのも自殺を決意した一つの要因だった。

それほどまでに、彼女への想いは本物だったのだ・・・。


ネットで出会った、文字だけの繋がりの彼女を・・・。


彼女との出会いは、彼が以前にふとした事で自殺を決意し、

馴れ合い掲示板に『今から死にます』と言うスレッドを立てた事だった。


その時、野次や煽りも無論有ったが、懸命に止めてくれた板住人達・・・。


彼女もその中の一人だった。


住人達の説得により自殺を辞めた彼。


そして、次第にその人に想いを寄せて行くのだった・・・。



叶わぬ恋だとは知らずに・・・。




彼は、彼女とメールやチャット等で交流を取るようになった・・・。


だが、段々気付いて来たのだ・・・。


彼女が彼への同情や哀れみでメール等をしてくれていた事・・・。

彼女の想いが自分には向いていない事を・・・。


彼は、敏感に察知してしまったのだ・・・。


彼女は別の男HNの事が好きな事を知ってしまった彼・・・。


自分の事は友達としてしか、見てくれてない事も・・・。


そして、その男HNとリアルで会った事も、互いに住所を知っている事も・・・。


そして、それらを隠されてる事も・・・。


それらの事実は彼には、余りにも大きかったのだ・・・。


「みさと(女性hnの名前)・・・

 愛してたよ・・・。結婚したかった・・・。守りたかった。」


「君は、幸せになってね・・・。」


泣きながらタイピングをする彼。


「『君の為に帰って来るよ』・・・と」


彼は、心配させぬ為なのか騒ぎを大きくさせぬ為なのか知れないが、

そう書き残して、家を後にするので有った・・・。


もう、帰らぬつもりで・・・。







彼が今日を自殺日に決めたのも、

単なる偶然の様に見えるが、実は必然なのである。


と言うのは、今日が11月12日、月曜日だからである。


自殺者が多い曜日は月曜日である。これはブルーマンデーの影響があると見られる。

逆に少ない曜日は土曜日で、男女ともに同じ傾向である。


彼も、無意識の内に『月曜病』の影響を受けて実行を決意したので有ろう・・・。

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