第一章
「今日も独り、明日も独り・・・」
彼は考え込んでいた・・・。
「一生独りなのかな、俺は・・・。
『一人』じゃなくて『独り・・・』」
昔の友達の顔が、瞼の裏に現れる。
もっとも、今は『友達』と呼べる間柄の人は存在しないが・・・。
そう、彼は死のうとしていた。
何となく続けている仕事。目標の無い毎日。
4人兄弟の中で、二人の兄も弟も優秀だが、
自分だけが高校中退で親・親戚からの風辺りが強く落ちこぼれと言う現実。
そして、最愛の人との別れ・・・。
何もかもが如何でも良くなった。
「生きてても、良い事はない・・・」
「最後にバーチャンの手料理が食べたかった・・・」
〜5日前〜
「・・・・・・」
彼の名前を呼び続けている。
「がんばれ! バーチャンがんばれ!!」
「バーチャンね、もう、駄目みたい・・・」
「バーチャンのぶんも…たくまし…く……」
ピー・・・・・
「バーチャァァァァァん・・・・!!!!!」
「死んだか。やっと邪魔者がいなくなって助かったな」
「それより遺産の相談だが・・・」
「ああ、そうだな。」
家族と親戚は誰一人悲しんでないようだ・・・。
葬式などは事務的に行われた。
表面的には悲しいフリ等をしてはいるが
本心で悲しんでるのは彼だけだった・・・。
「ふざけんなよ・・・」
彼は怒っている。
「(なんで、誰も・・・誰も、悲しまないんだよ・・・。)」
二人の兄に、弟からも軽蔑されていた彼。
高校中退してからは家には居場所が無く、親からはゴミ扱い。
だがそんな彼にもバーチャンだけは優しかったのだ・・・。
そのバーチャンも、もういない・・・。
「す、すいません。遅刻しました」
「おやおや。良い気なものだね。」
彼はうどん屋に勤務している。
「す、すいません・・・。」
「いやいや、良いんだよ。やる気が無いなら辞めてくれて良いんだよ?」
彼は対した仕事が出来ず、この嫌味な店長の捌け口で有った・・・。
「・・・」
誰からも、必要とされない・・・。




