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どこまでも浅い俺と日々  作者: チョココロネ
5/7

呼び出しの理由と教育指導

結局俺が第1社会科資料室の前に着いたのは放送から約10分後になってしまった。大して広いわけでもない高校の中の移動時間にしてはかかり過ぎてしまった。別に悪意はない。

少し深呼吸をしてからドアをノックする。

コンコンコン

ドアを開いて挨拶。

「失礼します。2年3組の高橋徹です。放送を聴いて来ました。」

室内には長机とパイプ椅子、黒板には磁石で付けられたら世界地図、ショーケースには化石や土器の標本といかにもといった感じの道具が見える。

そして、2人の人物。

1人はこの学校の社会科教師であり生徒指導も務めている石川。下の名前は知らないが。

生徒指導なのだが別に体育会系な感じのあまりしない人の良さそうな人だ。

そんな彼は教卓の椅子に座りこちらを苦笑いで見ている。

もう1人は昨日の女子生徒だ。腰の辺りまで伸びた綺麗な黒髪に整った顔立ち、まあ美人という言葉で片付けられるな。考えなくていいや。

そんな彼女もまたこちらを見ている。・・・少し怒ってるように見えるのは気のせいだろうか?

そんなことを考えていると石川先生が声をかけてきた。

「ああ、君か。どうぞ、入って。適当に座って。」

「はい。」

適当と言われても正面に座る意外の選択肢ないな。

座って正面の石川先生の顔を見る。目は合わせないが。

「呼び出してすまないね。目立ってしまうだろうけど許してくれ。」

「いえ、仕方ないことだと思ってます。気になさらないで下さい。」

「ありがとう。さて、放課後の生徒の時間を拘束してしまうのはあまり良くはないだろうから、さっそく呼び出した理由についてなんだけどね。」

「はい。」

「君が放課後、第2社会科資料室を無断で使用しているとここにいる友田さんから聞いてね。」

女子生徒が軽く会釈する。

彼女の名前は友田というらしいな。

「で、本当なのかい?」

石田先生は柔らかく聞いてくる。よくこんな感じで生徒指導が務まるな。

「はい、本当です。彼女に会った時だけでなく数回使用しています。」

こういうことはなるべく正直にいうのが俺流。反省の姿勢がより相手に伝わる感じがするからだ。

石田先生は尚も苦笑いのような表情を変えずに続ける。

「それの注意がメインってわけではないんだけどね、まあ規則は破られると困るんだ。」

「はい、反省してます。」

注意がメインじゃない?どういうことだ。

「規則は破られたけど備品に被害がある訳じゃないから、この件については特に罰とか与えるつもりはないんだ。」

「ありがとうございます。」

石田先生に頭を下げる。お咎め無しはありがたい。

「ただねぇ・・・。」

少し歯切れが悪くなった先生は少し困った顔をした後、続けた。

「これは一部の生徒しか知らないことだから他言無用にしてほしいんだけどいいかな?」

「はい。分かりました。」

「うちの学校では規則を破った生徒を1日観察するっていう教師側のルールみたいなものがあるんだ」

は、初耳だな。そんなことをしていたのか。

「それでね。観察した生徒に問題があればある部活に入ってもらって、そこでの活動に参加する義務を与えるっていう教育指導の措置が取られるんだ。」

なるほどね。

「つまり、昨日友田さんから俺が規則を破ったことを聞いた先生が今日1日、俺を観察して問題があると判断をしたため、そのある部活に入って活動しろという話なんですね?」

そう俺が話を飛ばすと先生は驚いた顔に変化した。

「ま、まあ、そういう話なんだ。理解が早いね。」

「ここまで言われれば誰でも分かるのでは?」

「うん、話が早くて助かるよ。で、どうかな?」

俺は迷う間もなく即答する。

「分かりました。では、部活動の内容を教えて下さい。」

俺の反応が意外だったのか、先生は更に驚く。

「あ、うん。えっと、部活については友田さんにお願いするよ。僕は、ちょっとこの後職員会議があるから失礼するよ。いやー、早く終わって良かった」

そう言うと先生は席を立った。

「じゃあ、友田さん。あとは、お願いね。」

「はい。分かりました。」

友田さんが先生に礼をする。

「じゃあ、僕はこれで。」

先生は急ぎ気味に資料室から出ていった。

室内には俺と友田さん2人になった。

一旦切ります

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