表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

開いた口が塞がらない

その夜、私―沢田雛(さわだひな)は、親友の夏帆(かほ)の家に泊まっていた。女友達数人だけ。

いわゆる《女子会》ってやつだ。

花の女子高生(私はそんなのじゃないけど)である私たちが話すことといったら、それはもう彼氏の話だ。

ここにいる5人のうち彼氏がいないのは、私だけ。

友達には、

「雛は綺麗なのにその性格じゃあ...」だの、

「もうちょっと笑顔振りまいてみたら」だの言われる。

余計なお世話だと言いたくなるが、彼女たちは心配して言ってくるので、なんとも言えないまま今に至る。


私だって女子高生。色恋沙汰には敏感な年頃のはず...だけど。

まわりで恋愛にのめり込んでる人を見るたびに、そんなに楽しいかなと思っちゃう。

まぁこんな考え方をしちゃうから駄目なんて、もうとっくに分かってる。

人より大人な考え方しかできない自分が悪いんだけど。





「嘘だっ、ぜーったい信じないっ!!!!!」




突然大声をあげたのは、この部屋の主である夏帆。

さっきまで違う高校の彼氏のことノロケまくってたはずなのに、どうしたのだろうか。


「だから、手繋いでたんだって!」

「嘘つかないで!そんなこと和は絶対しないもん!」


どうやら夏帆の彼氏が浮気をした様子。

友達が言う言葉に敏感に反応した夏帆は、唇を噛み締めて、その子を威嚇するようにじっと睨む。



「じゃあ本当のこと言う!腕組んで歩いてた!」

「そ、そんなのありえない!昨日だってメールも電話もしてくれたもん!」


頑なに認めようとしない夏帆に友達も降参したのか、「トイレに行ってくる」と出ていってしまった。

一方の夏帆はというと、部屋のドアを睨み付けたあと、大きく息をはいた。

...まぁ冷静になるまでほうっておこうか。

そう他の友達と目配せをして、マンガに視線を戻したとき。



「雛っ、頼みたいことがあるの...。和の浮気の証拠の写真撮ってきて」

「...は?」



開いた口が塞がらないとはまさにこの事だと思う。

後から聞いた話によると、この日お泊まりをしていた私以外の皆は、夏帆の彼氏に会ったことがあるらしい。

バレたらまずいので、顔を見られていない私に行かせたということだ。


ちょっと勝手だと思いながらも、その噂の彼氏の高校前にいる私もどうかと思うけどね...。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ