ヴァーミリオン1-2
浦田さんがいない?
何と言うか、現状が飲み込めない。
悪いドッキリか、光の冗談だと思うのが普通だろう。
本当に誰も知らない。それどころか、担任でさえも、名簿にさえも乗っていない。
彼女がいた”痕跡”が何も残されてなかった。自分の記憶以外の全てが。
他から見れば、俺は受験のストレスで頭がおかしくなったとしか思われないだろう。
本当にそうなのかもしれない。
ちなみに、こんな事を考えている今現在。何度も何度も考え直しとっくに放課後である。
自宅に着き、ベットに腰を下ろす
ふと、目の前にゲームのパッケージが入りひとつの答えが出た。
「あーそーだ分かった。どっか他の世界から魔王やら何やらがやってきて連れ去ってたんだわ。うん。そーだな良くある話だ」
だったら助けに行かなくちゃなー、こんな下らない現実から異世界へ。
どんだけ楽しいことか。
じゃあ、どっかの国の召喚師やら
魔術師やらが来て、俺を勇者にしてくれるのかな?
ー壊れたー
何が良くある話だ
そんなのRPGの2次元の話じゃないか。
「そのとおりなのでぇす!」
はい?
突如部屋の窓が空いて声が響く。
あれ? 我が家の窓って、開けたら虹色の4次元空間みたいなのが見えたりしたっけ?
そんな疑問そっちのけで謎の声が続ける。
「さすがなのですよー! その洞察力、普通の人間なら思いつかない発想力、この答えに辿り着く速度なんて、過去最高かもなのです」
何なんだ一体?
本当に頭がおかしくなったのか? 幻聴??
動揺と冷や汗が止まらない。動機がドンドン早くなる。
お、落ち着け。まずは疑問を解決しなければ
「取りあえずさ、あんた誰だよ? 会話できるのか? 日本人なの?
これなんだよ?」
一気に疑問をぶつけ過ぎたか?
そりゃそうだろう。こんなことになっているのだから焦って当然である。
もう一度落ち着けと自分に言い聞かせ、息を深く吸い込む。
「それでは出発なのですよー!」
ガン無視かよ!!
「待った! 待った!! ストップ! 出発ってどこに?」
何だ? 何処かに今誘拐されかけたのか? 恐っ! RPGではあるあるの展開だがな、実感して見るとかなり恐い。
「おいアンタ何者なんだよ?姿ぐらい見せろよ!」
そう荒々しく声を窓の空間に投げかける。
すると窓の空間が光り
「それはそうなのですねー。まずは説明が先なのです。早とちりし過ぎました」
しすぎだろと言うツッコミはさて置き
やっと声の主が姿を現すようだ
どんな奴なんだ?
窓に向ける視線を一層強めて凝視する
窓の光が一層強くなり光った直後ー
ばふっ!
とベットの横の布団が盛り上がり
「はいなのですよー」
とか叫んだ女性が出てきた。