第一幕〜リリスが鳴く刻〜
ちょっとキャラクターが増えます。人数は出来る限り控えめでいくつもりですが。
「今日の訓練はこれまでだ。何度も言うようだが、リリスの警鐘が紅く染まってきている。いつ出撃があるか分からない。機体の調整と兵装の整備は万全にしておくようにな」
『了解!』
「よし、解散」
そう、アークを乗りこなす為の訓練だ。
俺は、十歳の時にここに連れてこられ、超能力とか第六以降の感覚を引き出す訓練を受けた。
アーク、特に俺が乗るオリジナルアークは単なる巨大ロボットではないのだ。
パイロットの霊的、心的ポテンシャルに応じて、新たな兵装を自ら生み出し、機体を進化させる。
その進化段階に応じて、ここの人間達はドール級、アダム級、セフィロス級、デウス級とランク分けしている。
俺の乗るミカエルはセフィロス級、そして──。
「おい克魔君!」
「ん、なんだよ」
「なんだなんだつれないじゃない、我らがヒロイン真樹ちゃんからデートお誘いだぜ?」
「ちょっと、悠基さん!あ、ち、違うんですよ。アークの調整がまだ上手くできないから教えてもらおうと思って」
「ああ、いいよ」
「あ、ありがとうございます」
彼女は水木真樹、二十三歳で俺の二つ年下だ。
俺と同じオリジナルアークのパイロットで、アークの個体名称はガブリエル。
そして、もう一人のファンキーな野郎は諸辺悠基、こいつは俺と同い年で、もう十五年のつき合いになる。
なんかムカつくが、こいつもオリジナルアークの乗り手で、個体名称はウリエル。
「だけど、なんで俺なんだ?どうせなら、年長者の一条さんに頼めば──」
「うーん。一条さんってちょっと無口で話しにくいし……、それに年が近い方が話題も合うかな、なんて」
「話題?調整するだけだろ、不思議なことを言う奴だな」
「……、いいじゃないですか!ねッ」
「『ねッ』て、お前なあ」
一条真次、二十八歳、通称
「鉄仮面」
。四人いるオリジナルアークパイロットの中で最年長、機体はラファエル。ランクはセフィロス級、そして言い忘れていたがほかの二人はアダム級だ。
話が飛躍するが、オリジナルアーク以外の八機は、エミュレーターアークと呼ばれている。
なぜかは知らないが、エミュレーターと言うぐらいだからオリジナルを元に造られたものなんだろう。
ただ、オリジナルのような進化機能は無い。
そもそも、オリジナルの持つ進化機能自体が謎に包まれているのだ。
エミュレーターにそれを搭載することは不可能だろうが……。
「調整のことなんですけど」
「なんだ?」
「魔力がうまく伝わってくれないんです。霊圧センサーと心理センサーの調節は出来てるはずなんですけど……」
「……、考えられるのは霊脈に魔力のカスが溜まっているか、君自身の霊的、心的コンディションの乱れだな。他にあり得るのは、機体の進化が近づいてるか……」
「ほ、ホントですか!」
「いや、機体を診ないことにはなんとも言えないがな」
「は、はいッ」
ガブリエルを診たところ、機体全体に魔力を伝達する霊脈に魔力のカスが溜まっていた。
「魔力のカスが溜まってたみたいだな。こいつは精神状態が不安定だったりするとよく溜まるんだ。何かあったのか?」
「いッ、いえ!な、何もありませんよ」
「そうか。俺に協力できる事があったら何でも言ってくれよ?力になるから」
「は、はいッ!」
「とりあえず、霊脈の清掃をするから。でも、ちゃんと覚えろよ?マニュアルが配られてるだろ?」
「す、すみません。てへへ」
「何がてへへだよ。このナマケ娘」
「すみません」
「冗談だよ」
「はい、水木真樹!頑張りますです!」
「おう、頑張れよ」
つい二年前まで、ガブリエルパイロットの席は空席だった。
彼女は、まだ新人も同然で何かと俺に頼ってくる。
まあ、かわいい奴だし、悪い気はしないが、彼女の陽気さは何か場違いな気がしないでもない。
陽気を通り越してファンキーな野郎もいるから、さして目立ってはないが……。
「老け込んだか?」
最近、無駄に考え事が多くなった。
俺がバカにしている腐れ野郎に近づいてるって事は確かだろう。
だけど、なんだか心地よいから、このままでもいいかも知れない。
その後、俺はミカエルの整備を済ませて床に就いた。
「警鐘が……、リリスの警鐘が真っ赤に光っているぞ!」
「やつらが現れる!?剣司令!」
「うむ、オリジナル全員に出撃命令だ!今すぐだ。そして、シャングリラタワー全基のソーサルドライブを起動、バリア展開、最大出力だ」
ついにこの日が来たか、敵の戦力如何によっては瞬滅されるだろうが……、だが、最善を尽くすのみだ。
シャングリラのアーク統轄部部長兼戦時下最高責任者司令剣は、静かに覚悟を決めた。
シャングリラ第二タワー最下層フロアに起こった混乱はすぐさま全階層に伝達、当然、克魔たちにもそれは伝わる。
『ケースオーガ』、『オーガ』の襲来、人類に敵意を向け続けてきた存在オーガがジゴクモンをくぐり現出する。
すなわち、アークの初陣である。
「敵襲!?」
「どうやらそうみたいだね」
「おいおい、カッコ付けどころって奴かよ、ええ?なあ、克魔君よお」
「悠基、こんな時ぐらいまじめにやれよ。マジなんだぞ」
「わかってるって」
「二人とも、何をしゃべってるんだい。すぐにケージに向かわないと」
「オッケイ!任せとけよ」
「さあ、急ぐぞ」
男子寮エントランス、ここでいったん解散しそれぞれが自分のアークの元に向かう。
真樹もちゃんとやってるだろう。
白の装甲に女性を思わせる丸みを帯びた流線型フォルム、近接戦闘特化型アーク『ミカエル』。
その胸部が俺を誘うかのように開かれる。俺は、全身の感覚を確かめながらその体内へと乗り込んだ。
『魔力確認、ミカエル、オペレーションシステム起動完了』
「魔力供給開始」
『魔力供給確認』
「ソーサルドライブ起動」
『魔力クラスセフィロス、ソーサルドライブ起動』
「カタパルト展開を確認、出撃する」
『出撃、スラスターイグニッションスタンバイ、どうぞ』
「おおおおおおッッ!!」
周囲の映像がすべて線に変わる。そして俺は、俺たちは黄昏の空に飛翔した──。
お気に入りは真樹ちゃんです。一応、ロマンスもどきはあるかもみたいな風味で進めようかな。ロマンスは必要だ!という方は是非ご意見をお願いします。てか、読んでいただけてるか不安で仕方ない。




