第四五章 月影の旋律
ボー・ギャルソンのデビュー曲 「月影の旋律」 のリハーサルはついに最終段階に入っていた。
作詞・作曲は宮村浩次、編曲は小森武が手掛け、曲の世界観をさらに引き立てている。
小森のスタジオの中は、夜の街灯が窓から差し込み、楽器や譜面の光と混ざって幻想的な空間になっていた。ヒロジはピアノの鍵盤に手を置き、緊張と期待で胸が高鳴る。
「この曲で、俺たちのスタートを見せるんだ……」
彼のつぶやきに、メンバーたちも自然と背筋を伸ばす。小森は編曲の最終確認を行い、ヒロジは歌詞の感情表現を丁寧にチェックしている。
サチはヒロジの横でじっと彼を見守っていた。出発前の不安と、ヒロジの頑張る姿への尊敬が入り混じり、胸が熱くなる。
「ヒロくん……本当に、頑張ってるね」
ヒロジはgoodサインをし、小さく笑った。
「サチが応援してくれてるから、絶対に成功させる」
夜のスタジオには、メンバー全員の熱気が満ち、曲の世界観が生き生きと現れる。ヒロジはボーカルのマイクを握り、サチに向かってそっと笑う。
「この曲、君にも届けたい」
サチは小さく頷き、目を潤ませながら答える。
「私もずっと聴いてるから……頑張ってね」
デビュー曲発表後、ヒロジはテレビ出演、ラジオ収録、ライブリハーサルなどで多忙な日々を送る。
サチと会えない時間が続き、胸の奥に少しの焦りと寂しさを抱くが、それ以上に曲作りの情熱や互いに交わした約束が、彼の支えとなっていた。
「今度は絶対にしくじれない……」
ヒロジの瞳には決意が宿り、手にしたマイクが彼の未来を照らす光のように感じられた。
曲名 「月影の旋律」 は、夜の街の灯と混ざり合いながら、ヒロジとサチの絆、そして夢を追う二人の心を象徴していた。




