第一八章 避暑地の星空
昼過ぎ、ヒロジのバンドの予定が急にキャンセルになった。その日
「ちょっと時間できたけど…サチ、どこか行きたい?」
ヒロジの声に、サチは自然と笑みを返す。
「じゃあ、軽井沢みたいな避暑地で、星の見えるコテージに行こうよ」
二人はレンタカーに乗り込み、緑の濃い田舎道をゆっくりと走る。
窓の外を流れる木漏れ日や川沿いの景色に、二人の心も次第に穏やかになっていく。
普段は忙しくて交わせない会話を楽しみながら、サチはふと小さな笑いを漏らす。
「この道、夏でも涼しそうだね」
「うん、空気が澄んでて気持ちいい」
小鳥の声や風の匂いが車内にやわらかく入り込み、二人の距離感をさらに近づけていた。
夕方、木々に囲まれたコテージに到着する。
荷物を片付けるサチの背中に、ヒロジがそっと腕を回してハグをする。
優しいぬくもりに包まれ、サチは思わず小さく笑う。肩の力がふっと抜ける。
「こうしてると、やっと二人の時間って感じだね」
サチは少し照れながら答える。
「うん…忙しい日常の間に、こんな時間があるって嬉しいね」
夜、二人はデッキに出て星空を見上げる。
天の川が横切る夜空は、日常の喧騒を忘れさせるほど美しい。
サチは首元のネックレスを胸元で輝かせ、その光をそっと感じながら指で触れる。
ネックレスのひんやりとした金属の感触と、胸に近い温もりが、ヒロジとの距離を一層実感させる。
(心の中で)「あなたとこうしている時間が、私にとってどれほど大切か…」
しばらく二人は黙って星を見上げていた。
やがてサチは、小さな声で未来の夢を打ち明ける。
「ねぇ…私、近い将来フランスで美容師の修行をしたいって思ってるの」
ヒロジは驚いた顔で目を見開く。
「フランス…本気で言ってるの?」
サチはうなずく。「うん。まだ先の話だけど…どうしても挑戦したい」
ヒロジは少し考え込んだ後、優しい笑顔で言った。
「夢に向かうサチを応援したい。離れても、僕は応援してるよ」
その言葉に、サチの胸は温かさで満たされる。
夜の静けさの中、暖かな空気と星空、そして互いの存在。
二人だけのこの時間が、忙しい日常とのコントラストで、より特別に感じられた。
ネックレスを胸元で輝かせるサチと、ヒロジの優しい眼差し。
言葉は少なくても、心が確かに通じ合っていることを二人は感じていた。
翌日は、朝の散歩に出かけ、避暑地の小径やカフェを巡る。
風に揺れる木々の葉の音や、通り過ぎる小さな花々を見つけながら、二人は自然と笑顔を交わす。
夜にはコテージの暖炉前で笑い合いながら語り合い、帰路につく日まで、束の間の休息を心から楽しん




