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第一三章 ライブハウスの夜


ステージの照明が明滅する中、サチは後ろの方で観客に混じりながらヒロジの演奏を見つめていた。

ギターをかき鳴らすヒロジの姿は、普段の穏やかな表情とは違い、まるで別人のように輝いている。


しかし、視線の片隅に、サチの心をざわつかせる人物がいた。

サチのライバル――恋敵が、友人たちと一緒に観客席にいるのだ。

その視線が、サチの胸をぎゅっと締め付ける。


演奏が終わり、拍手が鳴り止むと、ヒロジは汗を拭いながらステージを降り、迷わずサチの元へ向かってきた。


「来てくれたんだね」

小さな声で返すと、ヒロジが頭を優しくポンッとしたあと、にっこり笑って手をそっと差し出した。

その手に触れた瞬間、サチの胸は高鳴り、心がじんわり温かくなる。


「今日の演奏、すごく良かったよ」

「ありがとう。サチがいると、頑張れるんだ」


サチは自然と彼の手を握り返し、ヒロジの笑顔を見つめた。

周囲のざわめきの中で、二人だけの時間がゆっくりと流れる。


そのとき、ステージ脇のVIP席のあたりに、ひときわ華やかな雰囲気を纏った女性の姿がちらりと映った。

セレブな装いに、上品な気品――ただの観客とは違う存在感を放っている。

どうやらヒロジのバンドのファンのようだが、視線は鋭くも暖かく、演奏を真剣に見守っている。


サチは一瞬その視線に目を止め、胸の奥がざわつくのを感じた。


――この人、ただのファンじゃない――何か特別なものを持っている。


小さく微笑んだその女性の視線が、偶然か必然か、演奏を終えたヒロジの方に向けられた。

サチにはまだわからない――この人が、やがて二人の未来に大きな波を起こす存在だということを。

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