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海の上の明り  作者: DDD
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1日目ー21日〈1 出発〉

前回のあらすじ

青嶋あおじま かいと、青嶋あおじま あかりは、正反対だけど仲良しの双子。今年は4年生です。7月20日、道を歩いていたら、宝島の地図が風に飛ばされてきました。あかりは反対しましたが、かいが、強引に明日、21日に行くことを決定してすると、あかりを家に引っ張っていきました。

「はああ・・・」

 自分の部屋の中で、あかりがため息をつきます。

「お兄ちゃん、いくらなんでも、無茶すぎるでしょ・・・」

 そう言って、2度目のため息をついた時でした。

「お~い!あかり!そろそろ行くぞぉ!準備はできたかぁ!」

 という叫び声とともに、兄のかいが部屋に飛び込んできました。

 青嶋 かいと、青嶋 あかりは、正反対の双子です。昨日も、風に飛ばされてきた宝島の地図を、かいが勝手に拾って、強引に出発を決めてしまいました。今日に出発をするということで、かいあかりの部屋に飛び込んできたのでした。

「もう、お兄ちゃん、私の部屋に勝手に入らないでって、前も言ったよね?」

「なんだよいいじゃんちょっとぐらい。それより準備はできたか?」

「もうとっくに終わってます!」

「それなら早く言えよ!ほら、さっさと出発するぞ!」

そう言って、かいは部屋を出ていきました。

「もう、いつもそうやって兄の立場を使って妹を思い通りに操ろうとするんだから・・・」

文句をブツブツ言いながらも、あかりも後についていきます。

二人は、町はずれの海の近くに泊められた、とても大きくて古そうな海賊船の前に立っていました。あかりはぽかんと目を点にして、かいは目をキラキラさせて。しばらくして、かいが口を開きました。

「船は、これでいいよな?」

「いや、さすがに、この船は無理でしょ」

あかりが、あきれたように答えます。

「なんでだよ。これしかないだろ」

「それはそうだけど、中に誰かいるかもしれないよ」

そこまで言い終えて、少し間をあけてから、「そもそも」とあかりは続けます。

「船が見つかったとて、操縦できないでしょ」

いえ、そうではないのです。かいは極度の船好きで、船の基礎から学び、操縦方法なんぞ完璧に暗記しているのでした。

「いやいや、できるに決まってんだろ!」

「そうだった・・・」

そう呟いてから、あかりは小さく舌打ちしました。

「とりあえず、中に入るぞ!」

そう言い終えるか言い終えないかぎりぎりのところで、かいは船に乗り込んでいってしまいました。

「あ!ちょっと、待ってよ!待って!」

船の中で、あかりがため息をつきました。かいは、それを逃さなかったようです。

「おい、なんでため息なんかついてるんだよ。なんか文句でもあんのか?」

「大ありだよ・・・」

あかりは、そう答えたのですが、かいには聞き取れなかったようです。

「あ?今なんて言った?もっかい・・・」

その時です。

「うわっ!なんだ!?」

「ひゃっ!」

突然、船がぐわんと揺れたのです。

「波だ!波が来たんだ!ちょっ・・・あかりいかり探せ!」

いかり!?確かここら辺に・・・あ!あった!お兄ちゃん!こっち!」

「えっ!?こっちって、どっちだ?」

「だからこっちだってば!」

あかり!とりあえず、下せ!行くから!」

「え、いかりを下すのって、やったことな・・・うわあ!」

「くっ・・・まあいい、行くぞ!少し揺れるけど我慢しろよ!」

「えっ、待って、まだ心の準備が・・・」

そう言うあかりを無視して、かいは、操舵倫そうだりん(船を操縦するためのハンドル?みたいな物)に手をかけると、船を進めました。進むにつれて、揺れが収まっていきます。

だいぶ落ち着いたところで、かいは船を止めて、いかりを下しました。

「はあ・・・はあ・・・初っ端からものすごく疲れた・・・」

「ははは、まあな。さあ、地図見せて。この辺なら、地図にも書いてあるはず」

そう言って、地図をもらうと、かいは地図を回したり、自分が回ったり。

「よし!多分、このまままっすぐ行けばつきそうだ。あかり、いいな?」

「うん、心の準備的には行っていいよ。ただし、あんまり危ないことはしないでよね」

あかりも、そう言って頷きました。

「分かってるって!じゃあ、しゅっぱ~つ!」

また操舵倫そうだりんを握ると、今度はゆっくり、静かに船を進め始めました。

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