表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
間違えたのなら正しましょう  作者: maruko
第一章 旅の目的
7/40

7

ファミに寝る前に読むと言った手紙は少し分厚かった。

きっと父である公爵がサティへと綴った言葉も一緒に書いてあるのだろうと胸が熱くなる。

そうしてサティは婚約破棄までの1年間を思い出す。


ファミとダミアンに言ったように今代の祈りの乙女はサティだった。

それは7歳の時に突然掌から光が発せられて解った事だった。

直ぐに王家から婚約の打診が来て第一王子のレオナードとの婚約が整った。

本来なら呪いを受けたリオンと婚約を結ぶのが常だが、その時はリオンはまだ生まれたばかりだった。


流石に年上過ぎるのでサティの事も考えてのレオナードとの婚約だったのだろうと思う。


レオナードはサティの1つ年上のとてもキレイな男の子だった。

サティは優しいレオナードとの婚約がとても嬉しくておそらくサティの初恋だったのだろう。


学園に一年遅れで入った時メリーナの世話係になったサティに頑張れ協力は惜しまないと言ってくれたレオナードだったが、王子教育と生徒会が大変そうだったので、手を煩わさないようにしようとサティは思っていた。


それから1年後に王家から緊急連絡が来てサティは公爵と急ぎ王宮へ向かった。


リオンの容態が悪化したのだ。

常に魘され汗が滝の様に流れている、体の痛みで顔が歪んでいる。


急いでサティは側で祈った、暫くするとリオンの容態が落ち着いてくる。


そして国王に王命ではなくお願いされた。

リオンに付いていてくれないかと⋯。

勿論サティは了承してそれから昼夜問わずリオンが魘されると祈る、その繰り返しだった。


王家はサティの部屋も用意してくれたが、いつ魘されるかわからないからリオンの部屋の侍女部屋に寝泊まりした。


そうして何ヶ月か経ってからレオナードと全く会えてなかった事に気づく。


あまりにもリオンの発作が頻繁だったので顧みることが出来なかったのが原因だ。


(何故レオナード様はリオン様の御見舞に来ないのだろう?)


そう思ったサティはリオンが落ち着いたから見舞いの手紙を書いて欲しいとレオナードに手紙を書いて、食事を持ってきたメイドに一言声をかけて渡してもらうように頼んだ。


実は人前で祈ると掌から光は出ないのだ。

だからここに来てからサティとリオンはいつも二人っきりだった。

リオンの発作が何時来るかわからないから国王夫妻も偶に手紙でやり取りするだけだったのだ。


食事も時間になるとメイドが二人分の食事を扉の外に置いているのでサティが食べ終わったらそこに置いておく、そんな時間が1年近く続いた。


何度か手紙をお願いしたけど遂にレオナードからは返信がなかったし、あんなに可愛がっていたリオンの御見舞の手紙すら来なかった。


漸く回復したリオンが魘されなくなったので、サティは王宮をあとにした、国王からも直々に労いの言葉をかけてもらえたし、何よりもレオナードが可愛がっていたリオンが元気になれたのが嬉しかった。


奇しくも強制参加のパーティが次の日だったので、サティは自分の顔を見たらレオナードはレオンが回復したと喜んでくれるだろうと思い、ワクワクしながらパーティーに参加した。


そしてそのパーティーで婚約破棄の宣言をされたのだ。

理由は世話係をしていたメリーナを仲間を使って虐めていたと言われた。


仲間どころか友達もいないサティなのに、そしてこの一年学園には通ってなかったのに何故そんな事をレオナードが言い出すのかサティにはわからなかった。


冤罪だと言おうとしたけれどレオナードは有無を言わせず次の婚約者はメリーナだと、また宣言してサティに退出するように言い渡した。


その瞬間サティは自分がメリーナによって貶められた事が解った。

あんなに優しかったレオナードが自分を1ミリも信じてくれないことが悲しかった。


だから騎士達に追い立てられるようにされても甘んじてそれを受け入れた。


(もう、どうでもいいわ)


それが婚約破棄されたサティの気持ちだった。

ここまでお読み頂きありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ