間違いを正す時
レオナードは不思議な空間に誘われ前を歩いていると突然、広い空間に出た。
そこは夜会の真っ最中だった。
ダンスを踊る者、端で食事を摘んでいるもの、2、3人固まって談笑している者。
それぞれがこの夜会を楽しんでいるようだ。
するとある一点に目が止まる。
(綺麗だな)
これは自分の感情なのだろうか?
レオナードは不思議な気持ちになった。
彼女を目で追っていくうちに大きなガラスに映った自分が見えた。
(これは⋯誰だ?)
そう思うのに彼女の方へ引き寄せられる様に足が進む。
ガラスに映ったのは自分ではなく見たこともない男だった、だが少し懐かしい気持ちになる。
「初めましてグラン王国のザッカーと申します。貴方のお名前を伺ってもよろしいですか?」
「グラン王国の王太子様でいらっしゃるのね、私はユーファミアの第二王女ファモリアと申します」
(この方が!)
レオナードは自分の口がザッカーと名乗った事に驚いたがファモリアの名前を聞いて自分がザッカーに意識が乗り移ったのだと解った。
その後二人でダンスを踊り、少し話しをしていたが彼女の父であるユーファミア王にやんわりと離されてその場は別れた。
レオナードの中にザッカーの気持ちが流れてくる。
((あんなに綺麗な人にそして聡明な人に会ったことなどない、私の后は彼女だ。彼女でなければ嫌だ))
そして脳裏に一人の女性を思い浮かべたザッカーだったが、首を横に振り婚約破棄を誓うのだった。
グラン王国に帰ったザッカーは王の私室へ向かった。
「父上話しがあります、大事な話しです」
「何だ!藪から棒に」
「私は」
ここでレオナードはザッカーの精神を乗っ取った。
「私は婚約者のマキナーレとの婚姻を急ぎます。よろしくお願いします」
「うむ、解った」
王の返答を聞いてレオナードはホッとする。
精神を乗っ取られたザッカーはレオナードの脳内で暴れていた。
だが暫くして急におとなしくなった。
「これは本当の事か?」
脳内でザッカーがレオナードに語りかけてくる。
実際にあった500年前の出来事をレオナードの脳内で見たのであろうと推測して、レオナードは「あぁ」と返答した。
後悔というザッカーの感情がレオナードの中に流れてくる。
「もう彼女に関わるな、側に居てはいけないんだ。それは間違った行いだ。君を支えようとずっと側にいてくれた人を思い出して」
レオナードの言葉でザッカーの中にマキナーレの笑顔が広がった。
「もう間違えないよな」
レオナードの問いに
「あぁ⋯⋯⋯ありがとう」
ザッカーがそう言った時、レオナードの精神にザッカーが覆い被さった様な気持ちになった、そしてレオナードは意識を手放した。
目の前が暗くなる前にサティの声が聞こえた。
「レオナード様ご無事のお戻りを待っております」




