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「私達は本当に存在しているのだろうか」
レオナードの呟きにサティ、ファミそしてダミアンは俯いた。
地図に国名を記されていない国は、地図上では存在しない国なのだ。
であるならば、自分達そのものが存在しているのかと問うてもおかしくはなかった。
「存在しています!そうでなければリオン様は何故あれ程までに苦しまなくてはならないのですか?」
サティはリオンの苦しみをいつも見ていた。
あの苦しみを無かったことには出来ない。
サティの言葉にレオナードはハッとする。
そうだ自分の弟は子供の頃から苦しんでいたのだ。
そう思い出し呟いた自分の言葉を恥じた。
「サティすまない、リオンがいるんだ。少なくとも私達は生きている」
「そうですよ!熊とも闘ったじゃないですか!」
ダミアンの言葉にサティは、つい笑ってしまった。
「貴方方は存在しておりますよ。私が保証します、名前が何故ないのか、忘れられたのか、それとも消されたのか。それもユーフェミアに行けばわかることなのではないでしょうか?」
神父の言葉に皆が頷いた。
「お嬢様、それではあちらの国に行く前に準備を致しましょう、何が必要になるか解りませんから、それこそ薬草などは準備しませんと」
「聖女の国に薬草などはあるのですか?」
ファミの提案で、サティは神父に訊ねてみた。
「私も行ったことのない国の知識はありませんが、周辺諸国では薬草を使って薬を作ります。地図の話では途中になってしまいましたね。周辺諸国のお話しをしましょうか。それから準備をしてもよろしいのではないでしょうか」
神父はそれから周辺諸国の特色などを教えてくれた。
言語などは大陸語で大丈夫だと言われた。
そういえば自分たちの国の言語はそのまま大陸語なのも不思議だった。
地図上のポッカリと空いた穴はとても小さかったから。
自分達の国はとても小さいのに母国語が大陸語とは。




