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ユーフェミア王国の予備知識がまるでないサティ達に、ダミアンの持つ地図を広げながらその周辺諸国に付いて神父が知っている事を教えてくれる事になった。
そこでファミがある事に気付いた。
「サティ様、私少し前から不思議に思っていた事があるのです」
皆がファミに注目する。
「私達、いえ少なくとも私はあの国を出てから国の名前が思い出せません」
その言葉に皆はハッと気付く。
サティもファミに頷いた。
「そういえば私もそうよ、でもそれは昔からのような気がするの」
「どういう事でしょうか?」
「あの国にいた時から私達は口にしていたかしら?」
「「「⋯⋯」」」
三人とも今までの事を考え始めた。
「レオナード様、貴方様はご自分の名前をフルネームで言えますでしょうか?」
王国の王家の姓は例外はあれど国の名前がその役割をしているはずだ。そう思い訊ねるサティにレオナードは否定する。
「⋯いや物心ついたときから言った覚えもないし、そして今も解らない」
「どうやら貴方方の国名は言えないようになっていますね。さしずめ忘れられた国でしょうか?国内でもそうですから他国でもその認識であるのかもしれません」
そう言って神父はチェストの中から一枚の紙を出してきた。
それは大陸の地図であった。
ダミアンの持っている物より新しく感じた。
広げて見ると国名と国境線が引かれているが、一つだけ名前のない所があった。
そこは地図上でポッカリと空いているように見える。
「私も今気付いたのですが、ここだけ国名が書かれていませんよね。でも私はそれを不思議に思った事がなかったのですよ、先程そこの方が言い出すまで」
サティは自分達の故郷が地図上で存在してない、いやあるにはあるのだ。
今までそこでサティ達は生きて来たのだから。
ただ他の国に認識されず、国民も自分の国の名前も知らず生きてきている。
いつから?
まさか、事のあった500年も前からなのだろうか?
そして一番不思議だったのが、それを誰も変だと思ってなかった事。
存在しない国で生きてきていたサティ達はお互いに顔を見合わせて困惑するのだった。




