27
光り輝くサティの前に神父が跪き頭を垂れる。
その様に戸惑うサティは神父の後ろから傾れ込んだ皆に目を向けた。
「なっ何なのでしょうか?」
ファミは此方が聞きたいと喉まで出かかって止めサティの側に行きいつものように抱き締め背中を撫でる。
「大丈夫です、何もありませんとも」
「なっ!そんな何もないなどと」
神父が咎めるがファミは彼をキッと睨み告げる。
「お嬢様に何も変わりはありません、いつものように祈っていただけです。そしてその役割があるのであれば貴方が導くのでしょう?だけどお嬢様はお嬢様。私達には何も変わりはありません」
ファミの言葉に神父はハッとする。
聖女だからといって特別ではないと彼女は言いたいのだとファミの言葉を理解する。
それはきっと歴代の聖女皆が思っていたことだろう。
聖女だからといって特別な力を授かったとしても、その者はその者なのだ。
人としては変わりはないと⋯。
神父は己の固定概念と聖女の神聖さを履き違えたと反省してサティに向き合う。
「お嬢様、祈りをありがとうございます。私がこの先をお話しますので一先ず家の方へ移動頂けますか?」
「⋯⋯わかりました」
サティはファミと神父のやり取りの意味が解らなかったが、この光の話しを彼がするのだろうと思い神父の家へ移動した。
4人を椅子に座らせて神父は説明を始める。
「この聖女の道を通る方は選ばれた方になります。そして今回の聖女様の導く者も選ばれた私が行います。聖女様「あの名前を、名前を呼んで頂けないでしょうか?」」
聖女と言う名にしっくりこないサティは名前の呼び方を懇願した。
「畏まりました、ではサティ様と呼ばせて頂きます。聖女というのは誰でもがなれるわけでもありません。本来ならユーフェミア王国の女性の王族のみに伝えられる力です。先程其方の方が貴方様のことを祈りの乙女だと仰いました。これは古来より聖女の力を委託された方の呼び名なのです、ただ現代ではほぼ皆無です。何百年も前から聖女様はユーフェミア王国を出る事が無くなったのが要因です」
サティにはその理由が良く分かるので少し辛い気持ちになった。
「ただ何十年かに一度此処を聖女の資格を持つ者が通ると言われています、おそらくはその方たちも祈りの乙女なのでしょう。ひょっとしたら貴方方の国では祈りの乙女が生まれているのですか?」
少し躊躇ったがレオナードが頷いた。
「そうですか、其れでこのお役目が未だに有ると言う事なのですね。納得致しました。さて、本題に入ります。祈りの乙女のサティ様は先程覚醒されまして聖女になりました。これは何故かおわかりでしょうか?」
「いえ私には見当がつきません」
「えぇ私もよくわかってないのです」
神父はニッコリと笑ってサティに答える。
「ならば何故私が導く者なのかというのは此処に文献が有るのです。此処を作った方のお手による物ですね、此方の教会の創設者がユーフェミア王国の王女様なのですよ、お名前がナイセリーナという方です」
「あっ!」
「お心当たりがあるのですね?」
「はい」
おそらくはナイセリーナの名前を知る者は自分と祖国の王妃だけだろうと、サティは思った。
「その方のお手で残っているのは聖女になる条件ですね、先ず祈りの乙女である事、原因を連れてきている事、原因がしっかりと覚える事と有ります。私には解りませんがサティ様にはお解りになりますでしょうか?」
「はい、その条件が聖女の条件であるならば私はまだ聖女ではないと思われます」
ナイセリーナが残した聖女の条件
一つ祈りの乙女である事、これはクリアしている。
二つ原因を連れてきている事、これはおそらく500年前の事を言ってるのなら王家の者を連れてきてる事となる、まさしくレオナードを連れてきているのでこれもクリア。
三つ原因がしっかりと覚える事、これは500年前の事をレオナードがちゃんと覚えている事と言っているのだろうと思う。
サティはまだ王妃からの伝承を誰にも話していない。
王妃は何度も国王に話したけれど国王は覚えなかったと言っていた。
ではレオナードは話してちゃんと覚えてくれるのだろうか?
此の話は誰に話しても覚えるのに相応しくないものは忘れると言っていた。
ではレオナードは?
覚える必要があるのではないのか?
相応しくはないのか?
ただ呪いを受けているのはリオンだ、覚えるのはリオンだったのだろうか?
サティが思案していると神父から何度も呼ばれていたらしくファミに肩を叩かれた。
「何かお考えの様でしたが大丈夫ですか?」
「はい、しなければならない事が出来ました」
「では、話しだけ終わらせますね。聖女を導く者は今回私です。私はこの話しを頂戴してから転移魔法を授かりました。行き先はユーフェミア王国です。もし貴方の言うようにまだサティ様が聖女でなければそれは発動いたしません。それで確かめられますね」
そう言って神父は何かを唱えたけれど魔法の発動はなかった。
「やはり貴方の仰るとおり、輝きはしたけれどまだ中途だと言うことのようですね」
神父の言葉を聞いてサティは今夜皆に話そうと決心した。
聖女になればユーフェミア王国に此処から魔法で行けるのだ。
古の力に頼れるのならば、その方がいいとサティは考えた。




