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お世話になった夫婦に礼を言って出発したのは明朝明け方まだ日が昇り始めた時刻だった。
息をはぁっと吐くと白い。
サティは寒さに上着を2枚重ねた。
ダミアンの話しに依ると冬眠の時期の筈なのに昨日の熊は飛び出してきた。
ひょっとしたら食べ物をしっかり食べていなくて冬眠する時期を逸していたのではないかと説明した。
夫婦にも注意を促すとそう言っていたらしい。
あの家は思ったよりも森に近い、もしかしたらサティ達が襲われて仕留めてなかったらあの夫婦に危害が及んだのかもしれないと、世話になったのはこちらなのにお礼を言われた。
幌馬車のキャビンはファミと二人だった。
レオナードとダミアンは御者席に二人で乗っている。
初めて乗るその中は本来は荷物用なのでやはり座り心地が悪い。
サティは公爵家の子女であった為、馬車とは乗り心地の良いものと国を出るまでは思っていた。
辻馬車に初めて乗った時、あまりの痛さに愕然としたものだ。
その時よりは乗り心地は良い。
昨日幌馬車を買いに行ったダミアンがクッションを4つ買ってきていた。
それを重ねて座っているので本来よりも心地が良いのだろう。
ファミと二人でダミアンに感謝した。
馬の疲れ具合を見て休憩を取ると言っていたので止まるまではお喋りするしかない。
幌馬車には窓がついていない為、外の景色は後ろの開け放たれた出口しかないのだが、景色をよく見ようとしたら馬車から落ちそうだ。
幌馬車は早いけれど歩いて抜ける森の道の鳥の囀りや木々の間を抜ける風の囁き、森の匂いそれらの癒やしも慰めになっていたから少し寂しさを感じる。
ただし熊さえ出なければなのだが、そう思ったところでサティは自分が贅沢だと反省した。
ファミは何かキャビンにいる時に出来ないかと思案している。
「お嬢様、薬草を採取してみませんか?」
唐突にファミは言った。
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