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「レオナード様の事なの」
「はいお嬢様の思うところをお聞かせください」
それからサティはファミに話す。
レオナードの事をまだ好きでいる事、追いかけてきてくれて嬉しかった事。
「でもね、私怖いの。熊に襲われた時に、あぁ自分は無力だって思って絶望したのだけど、その時にあのパーティの絶望感を思い出したの。レオナード様が再び私を裏切るのが怖いの、だったら離れた方がいいのかとも思うけど、そう思うと寂しくなるの。私もう自分がどうしていいのか解らなくて」
「お嬢様のお気持ち、初めて聞かせて頂きました。レオナード様はやっぱり最低王子でしたね」
「⋯⋯」
「人に恐怖を植え付けるなんて、そんなに多いことではないです。そんな事に無縁でいらしたお嬢様になんて事をしたんでしょう。そんな人はお側にいるべきではないと私は思いますが、それは私の考えです。人には色々な考えがありますから、今許せないと思っても明日は許せるかもしれません。だから決めつけも良くないのです。一度そのお気持ちをレオナード様にお伝えしては如何ですか?」
「好きだと告白しろと言うの?」
「いえその辺は濁してもらって、護衛として付いてきて欲しいが、婚約破棄の件で恐怖があると伝えるだけでよろしいかと思います」
「そっ、そう?」
「えぇそれをどう判断するかはダメ王子にかかってますし、伝える事であちらも頑張るかもしれませんよ。もしそれでレオナード様への恐怖が薄れればお嬢様にもいいかなと思います」
「⋯ファミに相談して良かった⋯これからもよろしくね」
「えぇ何なりと。相談でも何でも、私はお嬢様と共にあるのですから」
「ありがとうファミ貴方がいてくれて良かった」
不意にファミが涙ぐむ、サティは見たことのないファミの泣き顔に動揺してしまった。
「ファミ何故泣いてるの、ごめんなさい」
「いえお嬢様が私を必要としてくださってるのが解りましたので、感激しています。一年前に置いて行かれましたので私は必要とされないのかと落ち込んでおりましたので⋯」
「私の人生の悪い時にファミを巻き込めないと思ったの、悲しい思いをさせてごめんなさい、でもこれからは絶対離れないからね。覚悟してて」
「はい」
涙を抑えながらファミは元気よく返事を返した。




