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間違えたのなら正しましょう  作者: maruko
第三章 ままならぬ恐怖
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街を抜けて段々と周りは鬱蒼とした森に入っていく。

おそらく馬車がニ台すれ違うとぶつかると思われるほどの道幅はその部分だけを切り取ったようにサティには見えた。


サティとファミは並んで、その後ろをダミアンが少しだけ間を開けて付いてきてくれる。

3人で変わり映えのあまりしない木々を眺めながら進む。

時折鳥の鳴き声が聞こえるのがこの森の道のサティの癒やしになって歩く足の疲れを忘れさせてくれる、そんな気がした。


一人で旅をしていた時は歩けなかった。

やはり一人っきりでテクテクと歩くのは勇気がいったので、殆どの道を馬車を使った。


それでも半年経つと疲れから倒れてしまったサティだったが、オットーの所で少しだけ鍛えられたのかもしれない。


「お嬢様、ユーフェミアはかなり遠いですから途中街毎に靴を購入した方がいいかと思います。いつ壊れるかわからないですから」


「そうね、ダミアンの靴は特殊なのね」


「これは歩きやすいですよ!」


「ねぇファミ、私、服も冒険者のような服にしたいの、オットーさんのところでは流石に言えなかったけれど⋯その方が歩きやすいし汚れても平気だし、貴方もそうしましょう」


「そうですね、次の街まではそこまで遠くありませんし昼過ぎには到着するので買い物もしましょう。ダミアン旅に必要なものを買うのに付き合って」


「お安い御用ですよ」


「本当の冒険者ではないのにいいかしら?」


「大丈夫と思います、勘違いされたら笑って誤魔化しましょう」


ダミアンの軽口が心地良い。

まだ旅は始まったばかり、目的の難しさから知らず知らず不安になってしまっていたようだ。

サティはファミとダミアンが居てくれて二人にも、そして手配してくれた父にも感謝した。


3時間ほど歩いたら急に開けて来て空き地が見える。

その向こうの景色に街が近いことが知れる。


「かなり歩いた気がするわね、休憩も挟まずにごめんなさい」


「お嬢様、これくらいで休憩していたらとんでもない時間がかかってしまいますよ」


「少しでも進める時に進む方がいいですよ、進みたくてもできない時もありますから」


ファミとダミアンが、サティに教えるように話す。

サティは“歩く”という事にあまり慣れていない、自分が足を引っ張らないようにと心で誓う。


「ねぇあそこがギルド?」


「そうかもしれません、訪ねてみましょう」


その建物は2階建てで入り口は大きな扉のついた2枚扉。

開くと右側に受付が有り、左側に冒険者達が必要な物を売っていた。


「丁度良かったですね、ここで服も調達しましょう」


ファミの言葉に頷いて売り場に向かった。


ダミアンは受付で話しをしているようだったので一言声をかけて行く。


中には服も靴も色々な種類があり、ドレスしか見立てた事のないサティにはとても新鮮だった。


トレッキングポールなるものがあって店員に薦められた。

歩行の補助をしてくれる物で旅慣れないなら便利だと使い方を教わる。


ここの店員も元は冒険者だと言った。

怪我をして魔獣退治が出来なくなってからここのギルド長に拾ってもらったのだと言っている。


サティとファミは魔獣を知らない、知識もない。

オットーの家にいた時に本を読んだが少しだけ魔獣に触れていた。

ただそれを読んだだけのサティには未知の世界だ。


「この辺も魔獣は出るのですか?」


「ここらにはもう何百年も出ていないよ、魔獣がいるのは主に大陸の西側なんだ。ここら辺の冒険者は魔獣よりも貴重な薬草を求めて採取に行ったりするのが主な仕事だよ、そこまで危険ではない。でも魔獣が暴れた時に補助で依頼が来るときもあるんだ、力に覚えがある者や稼ぎたい者は、ここで登録だけして西を目指す」


サティ達が目指すユーフェミアは東に位置しているので反対方向だ、その事にホッとするサティとファミ。

やはり魔獣は怖い。


「お嬢様、ここの2階は休憩所になっていて食事もできるそうですよ、お薦めの宿屋は3件ほど教えてもらいました。どうします?先に宿に行きますか?」


ダミアンが受付で話していたのは宿屋情報と食堂の情報を得る為だったようだ。


「先に食事にしましょう、それからまた此処で色々買って、それから宿屋ね」


「「は~い」」


二人の間延びした返事に笑うサティ。


店員に後でまた来ると言って3人で2階に向かった。



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