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異変はファモリアが処刑された次の日から起きた。
先ず、国王夫妻が苦悶の表情で朝発見される、その次の日はマキナーレの生家の侯爵家当主、そして大臣達も次々と朝になると誰かが亡くなってゆくのだ。
大臣の次は使用人達、王宮で働く者が毎日1名ずつ亡くなってゆく。
半年もすれば誰も城で働く者が居なくなった。
実質王家は潰れたも同じだったが、なんとか対面を保つ為に、使用人を王家に貸す形で各貴族の当主が動いてくれた。
ザッカーは途方に暮れたが原因がわからない。
ファモリアは聖女だったから呪いなどとは関係ないと思っていた。
その時に残された子供達の事を思い出し、会いに行こうと考えた。
「マキナーレ、ファモリアの生んだ王子達に会ってくるよ、だいぶ時間が経ったからファモリアの死を説明してくる」
「⋯城がこんな状態なのに行く気なの?」
「こんな状態だから子供達が心配なんだ」
マキナーレはザッカーにファモリアの罪や処刑の様子を子供達に見せるのは酷だから、離宮に行かせた方がいいと言っていた。
ザッカーは子供達の本当の事を聞かされていなかったのだ。
「もし行くなら私とも離婚して!」
「どうしたんだ、マキナーレ。ただ会いに行くだけだ。王太子は君の生んだ王子になったではないか、彼らは継承権を返上しているんだぞ」
「⋯⋯」
「とにかく行く!」
「もう居ないわ」
「どういうことだ」
「ファモリアが死ぬ前日に死んだもの3人とも」
「⋯⋯どういうことだ!!!」
ザッカーは頭が真っ白になった、怒鳴りつけたものの何故子供達が死んだ事を自分は知らされなかったのか、その事に悪い予感がした。
「まさか殺したのか?」
「まさか!処刑したのよ」
「何が処刑だ!あの子達は何もしていないではないか!お前は何を言ってる!」
「私から貴方を奪ったからよ、それが罪」
膝を付くザッカーの背中にマキナーレは語る。
「貴方と結婚する日を指折り数えて待ってたわ、なのにあの女が私から貴方を奪った、王妃になる為に必死に頑張った私の事など貴方は気にもかけなかったわね。陛下と王妃様が側室にしてくれても私の事など貴方は顧みなかったわ」
「⋯⋯」
「だから噂を流したわ、お飾りの妻だとね。実際公務もしない王太子妃なんてそう思われても当然だもの、あっという間に広まって笑いが止まらなかった。貴方に叱責されるかもって思ったのに、貴方は突然閨に来た、吃驚したけど貴方の気持ちの変化が私は嬉しかったわ、一度聞きたいと思っていたのよ、何故変わったの?」
ザッカーはその時自分の過ちに初めて気づいた。
自分がファモリアを追い詰めていた事に、自分が公務をさせなかったからお飾りの妻と言われていたのに、それなのにあの時聞く耳を持っていたら⋯⋯ファモリアは訴えていた公務をさせてくれと、そういう事か。
ただファモリアの王太子妃の資質と思っていたが、そんな事を民が知るはずがないではないか、一度もファモリアを民は見たことがなかったのだから
そしてザッカーはマキナーレを己の剣で切り倒し、自分の胸を貫いた。
後に残されたのはマキナーレが生んだ王子だけだった。
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