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間違えたのなら正しましょう  作者: maruko
第二章 王妃の伝承

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国王夫妻はマキナーレを優遇してファモリアを居ない者の様に扱う。

たちの悪いことにザッカーの前では、億日にもそんな態度は見せない。

ザッカーは自分が望んで娶ったファモリアをとても優しく扱った。

だが彼は彼女を大事にするあまり激務の公務を免除してしまったのだ。


「ザッカー様、私は王太子妃です。公務は責務だと考えております。免除してくださらなくとも良いのです。お願いですから私に仕事をさせてくださいませ」


「ファモリア、君の一番の仕事は私に愛される事だ。公務など煩わしい物は側室にさせておけば良い、アレはその為に側室にしたんだからな」


「それはマキナーレ様のご意志では無いはずです。長年の婚約者をその様に仰っては⋯⋯」


「あぁファモリア君は何て優しいんだ、本当に気にしなくても良い、私に任せておけば良いのだよ」


いくらファモリアが言ってもザッカーはファモリアに公務をさせなかった、彼女が影でお飾りの王太子妃と陰口を囁かれている事など知りもせずに、そんな針の筵の中でファモリアは懐妊し王子を産んだ。


その三年後には王子と王女の双子を授かり、この頃にはファモリアはさせてもらえない公務よりも、子供達との時間に自分の気持ちを傾けるしかなかった。

何よりも愛しい子供たちと過ごす時間にファモリアは幸せを見出していた。


そんなある日、ザッカーが遂にファモリアの世間の噂に気づいた。


お飾りの妻と言われている事にザッカーは恥ずかしくなった。

その噂はファモリアが公務をせずに民達の前に姿を表さない事から来ているのに、ザッカーはただファモリアの資質のせいだと決めつけた。


何度も説明して「今こそ公務を」とファモリアが言ってもザッカーは聞く耳を持たなかった。

そんな事は関係ないと言い出す始末で、ファモリアには、なすすべが無かった。


そしてザッカーはファモリアから遠ざかる事になる。


それからは相変わらず子供達とだけ過ごしていたファモリアだったが、ある日マキナーレが王子を産んだことを知る。


懐妊したことも教えてもらえず、生まれて半年して教えられた事実はザッカーが自分を信用していない事に繋がった。

何故そんな事になったのか、国王夫妻がザッカーにファモリアが懐妊を知ればマキナーレとお腹の子は亡きものにされると囁いたから。


自分の両親にそれを言われて、お飾りの妻ならやりかねないと思ったザッカーはマキナーレの懐妊をファモリアに秘する事を徹底していたのだ。


その事実にファモリアは遂に離婚を決意する。


マキナーレが王子を産んだならば問題はないはずだと考えた。

継承権を放棄して子供達もユーフェミア国へ連れて行こうと思ったファモリアにザッカーは返事を渋る。


一つは自分の評判のため。

マキナーレが王子を産んだ事でファモリアが子供共々離婚してユーフェミアへ帰ってしまっては自分が追い出したと思われるというのがザッカーの言い分だった。


二つ目はユーフェミア国が聖女の国と呼ばれているようにファモリアにも王女にも癒やしの祈りができる事を知ってしまった為。


これは最初から知っていたわけではなく、マキナーレが王子を産んだ後に外務大臣が隣国より聞き及んだ事を進言した為だった。


実はファモリアはこの国に嫁いできた時から毎朝、王城の敷地内の教会で祈りを捧げていた。

ザッカーはただ信心深いのだろうとしか思っていなかったのだが、それが癒やしの祈りだった。


実際にはそのおかげでこの国は流行り病などもなく過ごせていたのだが、それを今更知ってしまったザッカーはファモリアを手放すのが惜しくなったのだ。




ここまでお読み頂きありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。


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