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婚約破棄系

従姉妹が婚約破棄してた。もう解消されているのに

作者: 麻の葉りり

女の子側からはあんまりないので書いてみた。

誤字脱字は確認してますが自信ない。

「レイ・フリッツ公爵令息!このタチアナ・クライム「何をなさっているのでしょうか?アリアナ・クライム第2王女殿下」

私はそう言う。

「わ、わたくしはタチアナよ!アリアナではないわ!」

「上手く変身出来ていますし歩き方も仕草もそっくりですが、目でバレバレです。

リオルは騙せたようですが」

ぐぬぬといいつつ変身魔法を解除したアリアナ王女。

王女を案内してきた近衛騎士見習いのリオルはギョッとしている。気付いてなかったようだ。

「はいこれで9回目。今回も私の勝ちですね。

いい加減諦めたらどうです?チャンスはあと1回ですが大抵の事はしましたし。

王太女殿下に変身なさるなんて・・・お叱りをうけるのでは?」


この王女、姉で将来の女王になるタチアナ・クライム王太女が好きすぎるあまり、幼馴染かつ婚約者である私、レイ・フリッツに事あるごとに突っかかってくる。(小さな頃は可愛げあったのだが)

大好きな姉の隣を陣取る腹黒で完璧超人(周りが勝手に言い始めた)である私が気に入らないらしい。

そこで10回中1回でも私を「何か」で上回れば言うことを聞く、というゲームを行っている。

これまで学園の試験、剣術、乗馬、ダンス、歌、ピアノ、裁縫、学園祭でのコンテストなどで勝負をしたが結果は私の全勝。

今回は魔法でタチアナ殿下に変身し、演じきる事にしたようだが、あんな憎々しげな目を向けられたら気付く。

私とアリアナ殿下の仲や勝負は有名で周りはまたか、という雰囲気。

女王や王配、姉であるタチアナ殿下なども知っている。(ゲームを聞いて驚いていたが呆れて了承した)

一部学園生徒は王女が勝つか負けるか賭け(金銭は犯罪なのでランチとか)まで行われている。

(今も遠くで「お前の負けな、ランチ奢れ」「うわぁ今回は殿下が勝つと思ったのに!」

という声が聞こえている)

「お姉様達には許可は取ってあるわ、大丈夫よ。

まだ勝負は1回残ってるわ!そうね・・・次は絵よ!

王宮の庭園を美しく描いた方が勝ち!来週勝負よ!お母様に許可を取らないと」

殿下は諦めずに次の勝負を(今思いついたようだが)提案してきた。

「来週ですね・・・。庭園を使う予定はないはずですから大丈夫だと思いますが、私からも女王陛下に許可を取れるようにしておきます。

あ、リオルご苦労様。もう戻っていいよ」

私が返事をしたその時


「レナード・アラン侯爵令息!わたくしカナリア・ラオブルームは貴方との婚約を破棄いたします!」

そんな声が聞こえてきた。・・・婚約破棄??

私は声のした方に目を向ける。

アリアナ王女も驚いた後、声のした方へと目を向けた。そこには

学生服を着た女子生徒と男子生徒、

その向かいに男子生徒。

「貴方はわたくしの婚約者でありながら月に1度のお茶会に参加せず弟に丸投げで贈り物も寄越さない。

手紙を送っても返事は来ない。

パーティーのエスコートさえ体調不良だと言って弟君に丸投げ。

先日はここにいるオレオ・クール伯爵令息を殴ったと聞きました!

そんな方と結婚なんて我がラオブルーム家の恥になります!

よって婚約は破棄いたしますわ!

すでにお父様からアラン侯爵家には婚約破棄の書類は届いているはず!わたくしのサインは入っていますから後は貴方のサインだけ!

わたくしは弟君のオリオン様と新たに婚約を結びます」


なんと婚約破棄と叫んだのは私と同じ公爵家でいとこのお花畑(バカ)で有名なカナリア・ラオブルーム公爵令嬢だった。

余りにもお花畑すぎるので支える為に選ばれたのが婚約者のレナード・アラン侯爵令息。

私と同じ王配候補だった。

それにしても・・・

「アリアナ、彼女あの事知らないのか?

でなければあんな事言わないよな?」

おもわず小さい頃のように敬語なしで話しかけた。

「そうみたいね。公爵が説明したはずなのだけど、いつもの様に聞き流していたようね。

流石にこれは・・・」

アリアナも呆れている。

「やめさせないと。

ああリオル、王宮へ連絡を。公爵にも連絡しろ」「了解しました!」

慌てて走って行くリオル。

私達は近づいていき

「何を騒いでいる、カナリア・ラオブルーム公爵令嬢!

大声を出すなどはしたないぞ」

こちらに気付き、慌てて礼をとるレナードと伯爵令息と立ったままのお花畑(バカ)

「婚約破棄と聞こえたが?貴女は何も知らないのか?

レナードからの贈り物がない事や茶会やパーティに出席できなかった理由は公爵から話を聞いている筈だが?

いつもと同じで話を聞いていなかったな?

でなければその様な事、言わないはずだ。

そこの令息を殴った事もな」

「え?」

「レナードが前妻の子供で、前妻が病気で亡くなった後、侯爵が後妻を迎えたのは知っているな?

後妻が産んだ子供がオリオンだと言う事も。


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この事は下級貴族や国民も知っている事なのだが。

上級家族が虐待騒動なんぞ起こしたから大変な騒ぎになった。

「使用人達も逆らったら後妻達にクビにすると言われて見て見ぬふりや、虐げる事に加担していた。

ごく一部こっそりと助けていた使用人はいたそうだが。

侯爵は違和感は感じていたが仕事が忙しくて家の事は後妻に任せきりだったと。

今の話を聞いて、分かったはずだ。

お前は頭はいいからな」

「・・・贈り物や手紙が届かなかったのは、

使用人がわざと?後妻の指示?

お茶会やパーティーにオリオン様が来ていたのは

・・・自分が婚約者になりたかったから?

レナードは、閉じ込められていた?」

「そうだ。後妻は前妻を恨んでいたそうだ。

先に婚約を結んだのは自分なのにその後家の都合で婚約は取り消しになり、前妻が結婚し跡継ぎを産んだからと。

政略だったが侯爵に惚れていたと。

侯爵は若い頃人気者だったらしい。

レナードが前妻似なのも憎さに拍車をかけたようだ。

だから前妻が病気で亡くなり、息子を1人にさせるのを忍びなく思った侯爵が迎えてくれて嬉しかったと。

子供ができて喜びはひとしおだった。

愛する人との子供だからな。愛する子を後継にしたかったが憎い前妻の子供が邪魔だったから虐げていたと。

弟も甘やかされたのと母親から前妻の恨みを聞いていて、母の為にと虐げていたそうだ。

レナードの方が自分より優秀だったから余計な。

ちなみにそこの令息を殴ったのもオリオンだぞ?

自分ではなくレナードと友人になりたいといった令息に腹が立ったからだそうだ。

間違いないな? オレオ・クール伯爵令息」

名前を呼ばれた令息はビクリとしたが、口を開く

「は、はいっ!そうです。

元々評判が良くないオリオン様よりレナード様と御友人になりたくて断ったら顔を殴られて・・・

どこからか話を聞いてこられたカナリア様が私の教室まで訪ねてこられて。説明したのですが

あんな素敵な方がするはずがない、と聞かず・・・。

もう準備はしてあるからこれから婚約破棄を言いにいくと」

「それでここにいたのか。いとこが巻き込んですまない。

そういう事だ。カナリア、またやらかしたな?

ちなみにアラン侯爵は夫人と離婚、オリオンは廃嫡されて辺境送りになっている。

使用人は虐げていた者は紹介状なしで解雇。

庇っていた者は屋敷に残ったそうだが人手不足。

アラン侯爵家は伯爵に降爵。

本当は男爵まで下げるつもりだったがレナードの優秀さに免じて伯爵にしたそうだ。

侯爵は仕事を辞める気だったが宰相補佐に抜けられたら仕事が滞ると宰相が泣きついたらそうで続けている。

カナリア、お前との婚約はとっくに白紙解消されている。

公爵から説明があったはずだがさっきのお前の発言からするに自分の都合の良い事しか聞いていなかったな?

生徒が大勢聞いているし皆が知っている事さえ知らなかったとバラした」

「お父様アレン侯爵家と婚約を破棄すると言ってたからそう言う事かと・・・皆知ってたの?」

「貴族どころか国民全員な。

いままで色々やらかす度に公爵が誤魔化したり尻拭いしてきたが、

もう限界だ。それに破棄ではなく解消だ。

互いに瑕疵をつけないようにそうなった」

「わたくしもそう思います。

あ、リオルが来ましたよ、何か紙持っています」

それまで空気になっていたアリアナ王女が口を開く。

「アリアナ殿下、レオ・フリッツ公爵令息、王宮に連絡した所、女王陛下からご伝言を承りました。その場で読み上げるようにとのことでしたので読み上げさせて頂きます。

『カナリア・ラオブルーム公爵令嬢、レナード・アラン伯爵令息、レオ・フリッツ公爵令息は翌日王宮まで来る事。なお、カナリア・ラオブルーム公爵令嬢は速やかに学園から去り、屋敷で謹慎する事。翌日王宮で処罰を言い渡す。

公爵には連絡済みの為、馬車を遣す。

それと

この件は口外禁止。口外した者は何かしらの罰を受けると思え』

以上です」

そう言って紙を渡してきた。紙は種類によって質や色が変わり、王家絡みの場合は王家の紋章がついている。実質王命。破る事は許されない。(王家は滅多にないが)

質の良い紙かつ王家の紋章付きの滅多に見ない紙である。

私は紙を見せ

「王家の紋章付きの紙だ!王命である!

ここにいる生徒諸君はこの件を口外せぬ様に!

口外したら罰を受けると思え!

・・・王命承りました。明日王宮に向かいます、と

返信をしてくる。

後は任せるがいいか?」

「勿論。カナリア・ラオブルーム公爵令嬢。

速やかに去りなさい。

レナード・アラン伯爵令息、明日必ず来るように。

みんな去りなさい!オレオ・クール伯爵令息も戻っていいわ。迷惑をかけました」

その言葉を合図に集まっていた人々は去り始め、

カナリアは1人馬車がとまる場所まで歩き始めた。


翌日

王宮の広間に女王陛下、王配、タチアナ王太女、

アリアナ第2王女、私、ラオブルーム公爵、カナリア・ラオブルーム公爵令嬢、レナード・アラン伯爵令息が揃う。

「全員揃ったな。では昨日の騒動の処罰を言い渡す。

カナリア・ラオブルーム公爵令嬢。そなたは修道院行きが決まった。

出立はすぐだ。


優秀だが自分の都合の良い事しか頭に入らず、見たいものしか見ない。何度言っても治らない。

そんな者は嫁がせられぬ。実際この国の貴族家はそなたが嫁いでくるのを嫌がっている。隣国なぞ論外。

故に修道院で過ごせ。一生だ」

女王の宣言にカナリアは青ざめる。

「ああ、跡取りは分家の子供を養子にするから安心せい。まぁそなたの異母妹だが」

震えながら隣を見ると公爵が気まずそうに顔をそらす。

公爵、とある子爵家出のメイドとの間に子供が出来ていたのだが、娘に知られないよう子供がいなかった分家に預けていた。(のちに子供ができたので分家の跡取り問題は解決済み)

最近になって出生を知り、驚きながらも本家の跡取りになる事を了承した。

「公爵は蟄居。跡取り娘が成人したらすぐに当主を交代してもらう。

婚約者もこちらで用意する。そうだなあと3年程で成人だからそれまでは屋敷で大人しくしていろ。

ああ、跡取りへの教育の干渉は禁止だ。

教育係もこちらで用意する

娘を甘やかしたツケは大きいぞ」

がくりとうなだれる公爵。

「以上だ。公爵達は退出せよ」

その言葉を受けて公爵はお辞儀をし、娘を立たせて広間を退出していく。


「さて、レナード・アラン伯爵令息

そなたに話がある。

第2王女のアリアナと婚約をして欲しい。

身分差はあるが妾とシノンほどではない。

このお転婆娘を任せられるのはそなたしかおらぬ」

女王ルルリア陛下の王配であるシノン様は商人の出(母親は男爵令嬢)

並み居る候補を押しのけて王配になられた。         

 「「え?」」と2人の声が重なり目が合う。

侯爵家時代のゴタゴタを片付けたら話を切り出そうと考えていた陛下。

レナードが虐げられていた事は王配候補となり城へ来た時から見抜いていた。

証拠を集めて断罪するのに時間がかかった。

これ以上苦労をかけてほしくはないがアリアナを任せられる者が他にいない。

それにアリアナ、レナードに気があるようだとタチアナが以前言っていた。

優しくて何処かの腹黒陰険完璧超人と大違い、妻になるならレナード様みたいな方がいい、とか言っていたそうな。頬を染めて。


「そ、それは・・・その・・」

「ちょ!?お母様・・・ではなく陛下!?いきなり何を「前から考えておってのう。タチアナから気があるようだ、妻になるならレナード様みたいな方がいいと頬を染めながら言っていたと聞いておったし、他にいないのも事実だし良いかと思うたんじゃが?」

「お姉様ぁ!!」「あら?いけなかった?わたくしもこの婚約に賛成よ?」

「あああもう・・・」

レナードも顔を真っ赤にしている。

「ああ、私も賛成だよ?レナードくんなら任せられる。アリアナのお転婆もなりを潜めるんしゃないかなとも思ってる」

「お父様・・・」

王配もニコニコしながらそう言う。

「レイは知って「話は聞いていた。良かったな」知ってたの!?良かったな、って決定してないでしょ!」

1人大騒ぎしている。すると

「あの、女王陛下。この婚約お受け致します」

レナードがそう言って陛下の顔を見る。

「アリアナ殿下の明るく元気な性格は好ましいですから。

虐げられて辛かった時に殿下に励まされた事、感謝しています。

どうか恩返しをさせて貰えないでしょうか?

そしてこれからも励ましてくださいませんか?

私も貴女を支えたい。

アリアナ・クライム第2王女殿下、私の婚約者になってください」

アリアナに近づいて膝をつき、顔を見上げるレナード。

「・・・つ、謹んでお受けしたします」

顔が真っ赤になり返事をするアリアナ。

「うむ、一件落着だな。書類はすぐ用意するから少し待て」

そう言ってちらりと王配を見ると、ひとつ頷いて出ていく王配。

少しして文官と書類、そして机と玉璽を持って来た。

「2人はここにサインを。婚姻はタチアナとレイの婚姻後になる。それまでにアラン伯爵家の人手不足を解消するようこちらからも手を貸す」

書類を隅から隅まで読み、サインをする2人に王配が言う。

「感謝致します、シノン王配」

サインを確認したのち女王が玉璽を捺す。これで婚約成立だ。

文官に渡し、文官は箱に入れ、一礼して退出していく。

「それで婚約は成立となった。2人に拍手を」

女王陛下が言い、皆が拍手をする。

拍手が終わった後、私は女王に言うべき事があったと思い出し

「女王陛下、お願いが。今度アリアナ王女と絵画勝負をする事となりました。

つきましては庭園の使用許可を頂きたく」

「わたくしからもお願いいたします。今はモミジが見頃ですから。

これが最後の勝負になります。何卒」

「ああ・・・あの勝負か。アリアナはもう9回負けておるのか。

モミジは綺麗だから誰かに絵でも描かせようかと思うていたが。

良い、許可する。でいつ勝負する?」

「はい、来週勝負しようと」

「早いな?まぁ来週までが見頃だろうから良いが」

「感謝致します」「ありがとうございます、陛下!」

「今度は負けないからね!」「それはどうかな?」

アリアナ王女とバチバチと火花を燃やす。


後日、アリアナ・クライム第2王女とレナード・アラン伯爵令息の婚約が発表され、2人は祝福された。

そして・・・

「さあ、勝負の準備はいい?始めるわよ!」「ああ、いいぞ」

第2王女と公爵令息の勝負、その最後の幕が上がるのであった。


                   終

最後の勝負の結果は想像にお任せ下さい。


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