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さいごの夏  作者: 冷羽
2/2

#1

「ここの答えをー、斎藤さん」

「あー、わかりません」

「んーじゃあ後ろ行ってー……」


授業にも身が入らない。

先週書き始めた小説はまだ10行で止まっている。小説のことを考えていると授業にまともに集中できず、当てられてしまったら答えられないことが増えた。


「うわ、次俺じゃん答え何?」

「お前ちゃんと話聞いとけよww」


後ろから声が聞こえてくるが、生憎このように話せる友達はいない。

我ながら自分のコミュ力に絶望する毎日だ。……まあ、そこまで友達を作るのに意欲的でもない。友達がいても小説について相談できることもあるまいし。


休み時間になって、授業を受けて。そしてまた休み時間になって、授業を受ける。その繰り返し。

そしてお昼になって教室でご飯を食べる。便所飯なんて言葉もあるが、不衛生過ぎて嫌だ。


「斎藤。」


机に影が射した。


「私がいなきゃ、今日もお前はぼっち飯だった。」

「私はそれでいい。」


前言撤回。彼女は友達か。完全に忘れていた。

彼女、三神柚(みかみ ゆず)は勝手に前の人の机を寄せこちらにくっ付けてくる。

お節介と言えばそれまでだが、三神は例の唯一小中高と同じ人間であり、一応話せる仲ではあった。


「連れないねぇ~。今日の授業も全部分かりません、分かりません、分かりませんって」

「三神」

「聞けよ人の話を」

「もし友達が重病で、今年の夏死ぬってなったらどうする」

「………??」


こうなればもう誰でも良い。聞いてしまおう。


「私以外に友達いたのか」

「いたとして」

「かわいそうなやつだな。てか、そいつが誰かに言うかどうかわかんねーじゃん」

「どういうこと?」


話を曲げるし、話すにも分かり辛い。やはり彼女に聞くのは間違いだったと思う。


「えーだからー、なんだ、語彙力ないかも。お前の友達が私は重病だ、って誰かに言ったところで治るわけでもないだろ?」

「そうだけど」

「だったら言われないだろ。変に気を使われても困るし」

「ふーん」


よく分からないけど、なんとなくお母さんと似ている気がした。


「なんだよ、ふーんて。」

「べつに」

「あそう。てか、今度花火大会あんじゃん。行こうよ」

「嫌だ。なに急に」


本当になんなんだ。

やはり彼女は、少し掴めないところがある。

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